「第0回ときがわ自然塾」を開催しました
2021年1月31日(日)、Zoomにて「第0回ときがわ自然塾」を開催しました。
主催は、埼玉トカイナカコンソーシアムとときがわカンパニー合同会社。
「ときがわ自然塾」とは、埼玉トカイナカコンソーシアムが運営するソーシャルシェアハウス「とがわシェアハウス」を活用し、都会のビジネスパーソンを対象に、ときがわに滞在しながら大自然に触れ、心身を解放して新たな学びの場に挑む塾です。
ときがわカンパニーが主宰する「比企起業塾」ともコラボして、旬な講師陣を招いて行う、会員同志の学び合いの場として、月1回程度の開催を予定しています。
本来、ときがわトカイナカハウスのお披露目も兼ねて開催を予定していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が再発令されたことから、Zoomでのオンライン開催となりました。
町内外から、12名の方々にご参加いただきました。
まずはチャットで、本日への期待から。
・トカイナカ、板橋から応援しています!
・皆さんとときがわ町の今後について色々話せたらと思っています。
・ときがわの未来について
・大野で材木屋復活がんばります
・ときがわ町について、過去と未来についてのお話楽しみにしています。
・ときがわ町で林業を始めたいと思っております。
オンライン開催とはなりましたが、オンラインならではの参加者との距離感の近い進行を心掛けていきます。
まずは主催者を代表して、埼玉トカイナカコンソーシアム代表の神山典士さんよりご挨拶をいただきます。
・ときがわには多彩な方がいる。
・コロナでの壮大な社会実験
・人間の動きが東京に向かないと幸せになれないと思わされてきた。
・そうではなく、自然豊かなトカイナカがあるのではないか。
・今後も、ときがわ自然塾を、月1回開催。
特別講演「ときがわ町の歴史と未来戦略」
ときがわ町の渡邉一美 町長をお招きして、「ときがわ町の歴史と未来戦略」についてご講演をいただきました。
(チャットに、ときがわカンパニーの関根さんがまとめてくださいました。関根さん、ありがとうございました!)
(1)自己紹介
・前職 とうふ工房わたなべ
・H18年に旧ときがわと旧たまがわが合併
・未来戦略:総合振興計画を、渡辺町長がどう解釈し運営していくか。
・当時のとうふ業界の売上 7000億、そのうち、スーパーの取り分3500億。半分取られていた。
・三者で利益を分け合えるような商売にしないと、続かないのでは。
●下里の金子さんとの出会い
・1軒の農家に、30人のお客さんがいればやっていける。
・300~1000人の固定客がつけば、スーパーに頼らずに、とうふやもやっていけるのでは。
・製造直売(流通を介さずに、直接お客さんに売る)を志向
・地元大豆を使う
・利益が外にでないよう、スーパーに半分もっていかれることがないよう
・地元で大豆を作ってくる農家さんが集まった(契約農家)
・顔の見える関係
・下里農場で、食の安心、安全、オーガニックについても学ばせてもらった。
・「素性の分かる豆腐作り」
・作り手と食べ手の信頼関係
・支持してくれるお客様も増えた
・再生産可能な価格
・「来年も、大豆を作ろう!」と思えるような値段で、仕入れている。・製造直販で、粗利を確保
・「高い豆腐を平気で買っていく、この地域の人が凄い」さいたま市から、ときがわ町へ引っ越してきた人の話
●3年前に町長に
・行政に文句を言う立場から、言われる立場になった
・関根茂章(元嵐山町長)論語の勉強会
・この辺は気候が温暖。二毛作ができる奇跡的な場所。災害が少ない。人心が穏やか
・子供達には夢を、若者には仕事を、お年寄りには安心を。それが行政の仕事
(2)ときがわ町の歴史
・旧都幾川村出身
・西平 慈光寺 慈光寺経が国宝
延暦寺と同じ時期に開山
源頼朝に支持された
慈光寺があったから和紙、木工、建具、産業が発達
小川町の「ぴっかり千両」=和紙、木工、建具、林業、絹、お酒(5つのお金になる産業があった)
・都幾川
・玉川:雀川と都幾川の合流点に「玉つぼ」がある。春日神社のそば。船がここまできた。
・玉川は、「宝の川」ということ
玉川陣屋で、モノを集めて、船で川越へ運んだ
・尾根筋
旧玉川は、東秩父と文化交流があったのでは
旧都幾川も、尾根伝いに、小川町とつながっていたのでは
移動手段は徒歩。歩きやすい尾根筋を歩いていたのでは
・川筋、尾根筋、文化を見直す。
・旧都幾川村の地場産業は、林業と建具。
戦後、昭和の時代は木工業が盛ん。150件。
バブル以降、林業、木工業も斜陽化。
・旧玉川村は、農業主体。ミニ工業団地を誘致
玉川工業高校、卒業生の就職先として、工場を誘致
・1千万円台で、マイホームがもてる!と売り出していた(川越は、3000万)
ミニ開発で、人口が一時増えた
その後、人口が減っていく
・15年ほど前に、合併し、ときがわ町に
(3)ときがわ町の未来戦略
●総合振興計画
・消防団長もやっていた。
・「小さくてもきらりと光る村づくり」
「美しい村づくり」
木の村の再生 ⇒抽象的で捉えどころがない将来像
・「人と自然のやさしさに触れる町 ときがわ」 ⇒イメージがわきづらい
自分なりに読み解いて解釈してみた
・人=町民?交流人口、関係人口? ときがわに関係した人達なのかな
・自然=ありのまま? 山は荒れ放題、草ぼうぼう それでいいのか、そうではないだろう
手を入れた山、人工林が、8割
二毛作もできる奇跡的な土壌
・自然=ときがわの環境
・「優しい」は耳辺りの良い言葉、コンサルは頭いいな。 ⇒SDGs(持続可能な)
・ときがわ町民が、環境を保全しながら、持続可能なまちづくりをしていく
・下里のこの地を、100年、1000年続く、農地にしたい。と金子さんが良く語っていた。
・そのためには、有機農業でないとだめだ。
●町長になって3年
・なりたての頃は、右も左も分からない。
・町長になろうとも思ってなかった。
・2年目は災害
1月に堂平天文台の下が、山火事。自衛隊の方々の応援も得て、鎮火。人的被害がなかった
10月に、台風19号。空前の雨量。都幾川周辺、床上、床下浸水
下流の東松山、坂戸、川越にも被害
令和1年は、災害に強いまちづくりがテーマでは。
・令和2年は、春先からコロナの影響
国からは、10万円の給付金
国の政策が、末端まで行くよう自治体も支援
●「食と教育」で選ばれる町へ
・子供達は、1回は外に出る
・高校も大学もないので、15の春は、町外へ
・小中学校の教育は大事。子どもたちが、どこへ行っても大丈夫なように教育に力
・人類の脳みそのボリュームが膨らんだ理由は、食べ物
・人類の臓器の中で、エネルギーを消費するのは、脳
・腸で消化しやすいものを食べる
・煮炊きをするようになってから、消化のスピードが速くなった
・食べたものが、消化されて、脳にエネルギーが行く
・しっかりした食事を整えることで、脳の環境が良くなる
・学校給食から整えていこうとしている
・給食費を無料にできないかという話も議員からは出るが、給食費を無料にすると、美味しいものを食べさせようとするよりも、コスト削減に向かってしまう
⇒ 給食に予算をつけて、おいしく、身体によいものを食べてもらう
・給食を弁当センターに移管する話が出た時、保護者の大反対があった
・地元の食材、農産物、「地産地消」の給食
フードマイレージの観点からも
食料の地域自給率をあげる
・食料のパイプライン
・高齢者の食事は、ルーズになりがち
福祉行政にも、食をテーマに取り組む
●ごみ処理場
・吉見町との折り合いがつかず中止になった
・小川地区衛生組合
・民間委託で調整中
・ごみ問題は、持続可能なまちづくりでは重要
自然に返すものは自然に返す
しょうがないものは、焼却する
・ごみの減量化を図る
●観光
・入りこみ客を、130万人にするという目先の数字に追われがち
都会からお客さんを呼び込もうという考えが多い
・ときがわの人たちが、ときがわでの観光を楽しもうという状態になっていない
・下里農場「内発的発展」
中から盛り上げようという発想
・令和3年度からは、ときがわ町の人が、ときがわ町の良い所に行ってもらう
我がふるさとに、人を呼びたくなる町に
何万人もの人が、観光大使になる
・川の水辺は綺麗になった
尾根筋は、整備されてない。木のプレートもついてない
・一番美味しいものを提供できる飲食店が増えてこないと困る
・東京からお客さんが来た時に、何を出す。混ぜご飯、餅つき、故郷にある本当に美味しいものを出してくれよと発破をかけている
・ときがわ町の中から、宣伝をしていく
●20歳~35歳の女性の流出
・何とか繋ぎとめられないか
・実家のそばで産みたい、子育てした
このニーズを追い風にできないか
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「子供達には夢を、若者には仕事を、お年寄りには安心を。それが行政の仕事」
「川筋、尾根筋、文化を見直す」
「ときがわ町民が、環境を保全しながら、持続可能なまちづくりをしていく」
「食と教育で選ばれる町へ」
といった非常に興味深いお話がありました。
特に、「尾根筋」の話は聞いたことがありませんでしたので、どのようなことが考えられるかぜひお聞きしたいところです。
座談会「ときがわ町の未来を語る」
短い休憩後、神山さんファシリテーションのもと、町長と参加者との意見交換タイムとなりました。
●1等賞をとらないと、光らない
・とんがりが必要
・秩父は、目立とうとしているが、ときがわは、引っ込み思案
・ときがわは、落人の文化
字の読み書きができた。落ち武者が、文化を根付かせてきた。
・外からの刺激を与えてくれる人は大事
・お嫁さんは外からの人が多い
・風土、土(土着の人たち)風(外から来た人)
・土と風の両方が上手く融合すると、新しい「文化」が生まれる
●小川町 下里農場 金子さん
・自分が作った野菜を、子供達が学校で食べてくれると、祖父母たちは喜ぶ
・小川町では、学校給食で、年2回、有機の日を作っている
・学校給食 韓国は小学生が全部無料
有機食材が〇割と決められている
・渡辺町長がいれば、全国がびっくりするようなことができる。(例:いすみ市の給食)
いすみ市は米だけなので、野菜を有機食材にすべて切り替えたら全国初
●山なおさん@ときがわ町
・実家の製材所を復活させようとしている
・岡本さんと林業、製材と、取組み、ときがわ材をとがらせようとしている
・山の上から、伐採、製材、施工して、家を売るところまで、やってやろう!としている
・尾根筋の改革、具体的にどんな計画が?
(町長)
・弓立山、小倉城跡、雷電山の整備
・木に名札を付ける
・大野の尾根筋もある
・「木のまち」のイメージを変える。木の町らしさ
木の文化を使い尽くす。建築資材は、まぐろのトロ。燃料で7割使用
・山の中の空間を楽しむ遊び方(例:ソロキャンプ)
・ときがわ本屋「森の中の本屋さん」
・民間と話しながら、スピード感をもってやりたい
・ときがわ町の観光には「立体感」がある
・観光を、地元の人が楽しむ
・馬頭観音に、そんなに価値があるものと思ってなかった
・外の目線を、中の人に伝えられたら、また価値の再確認ができるのでは
●みっちゃん
・東松山市在住(滑川出身)、奥さんはときがわ出身
・地元で何かできないかと、チーム企で、栗原さんと活動している
・新しい人がこういうことやってるよと言うと、地元の人は「昔からやってるし」と言われる
・地元の人の反応は?
(町長)
・ときがわの人も、2~30年周期で、人が入れ替わっている
1000人規模で人が入ってきた時期があった
・何百年もときがわにいるというより、2~30年周期で、新しい人が入ってくる
・あまり周りの人を気にしないでやってもらっていいのでは
・商工会で「30年前からいる人いますか?」と訊いても、3割ぐらい
・外の人も、余所者意識はいらないのでは
●神山さん
・ランチも美味しいし高い
・生活に余裕があるから?
(町長)
・地元の人が経営してない。奥さんが他所の人
・どこ行っても、半分は他所の人
●ユカ
知り合いの若い夫婦(0歳と2歳の子どもあり。妻の方がときがわ町出身)が、親にいつも駅まで送迎してもらっていたのが悪かった。交通の利便性が高い坂戸に住みたいといっていた。ときがわ町の交通についてのお考えを聞きたい
みっちゃん:
・ゆかさんの問題は、ときがわ出身のうちの奥さんも同じこと言ってました。「子育て視点だと、手離れした後のことを考えると」だそうです。
(町長)
・鉄道が無くても、利便性を感じられるようにしていきたい
・移住については、宅地を供給していきたい
●神山さん
・きらりと光る町づくり
・とうふ屋でも同じことをやってきた
(町長)
・家内工業のとうふ屋を、きらりと光らせるために、何かできるのでは
・一流の原料での豆腐の作り方を京都で学んだ
・その後、ブランド化されていった
・針の先ほど、とんがりを作り、目立たせる
・とんがると、皆が期待するので、更に努力する
・昨日(30日)ときがわの給食が、NHKテレビに出た。この後が大事
●神山さん
・ときがわ町の中学校での作文教育。大臣賞をとった子供達がバンバン出た
(町長)
・半年間、作文を書き直し、指導し、清書
・日本一とるのは大変。努力が必要
・大変なことは分かっているが、そこにチャレンジしないと
●神山さん
・ロールモデルがあることが大事
・東北出身の若者が、全国で活躍している(東日本大震災を経験した若者たち)
・ときがわには、良い素材、食べ物がある
・今までは、育った子供が、東京に出て、帰って来なかった
関根さん
・比企起業大学をつくる
・ときがわ町には高校、大学がない
・帰ってくるきっかけをつくる
⇒ 大学、起業という選択肢
●ワタナベさん
・東松山で、高田博厚という彫刻家の評伝を書こうとしている仲間たち
・5年前に、中野区から、東松山に来た
・高田博厚 生誕120年
●林さん
・板橋区は、ときがわ町に一番近い東京
両者をつなぎたい
いい「T」
参加された皆さまの話題はつきず、まだまだ話足りない様子でしたが、お時間となったため、今回はここまでとなりました。
本日の感想をお聞きしてから、最後に記念撮影。
みんなで
「いいT~」
「T」といったら、いい笑顔になりました。
皆さま、本日はありがとうございました!
ご講演いただいた渡邉町長、ありがとうございました!
比企つづき(引き続き)、ときがわ町をおもしろい町にしていきましょう!!
本日はありがとうございました!