弓立山フィールドワーク

2021年3月28日(日)、近日設立予定の一般社団法人ときがわ社中のメンバーで弓立山のフィールドワークを行いました。
弓立山は埼玉県比企郡ときがわ町にある標高427mの山です。

きっかけは2021年2月27日(土)に行われた「ときがわ自然塾」の講演会で、渡邉町長から「尾根筋を活用したい」とのお話を伺ったこと。
まずは山に登ってみないと始まらないということで、手ごろな弓立山に登ってみることになりました。

三波渓谷の駐車場に集合し、今回は桃木方面から登ることとします。
県道にも歩道はありましたが、おすすめは田んぼの間を通る道。
車も通らないし、この季節は花桃などの花もキレイです。
ところどころにある小さなお社も趣があっていいですねー。

いったん山に入り、八幡神社に出ました。
ここも桜と山桃が鮮やかです。
すぐ近くには「聖徳皇太子」の石碑もあり、妙見信仰との関係も想像されますね。

道路沿いを山に沿って上がり、旧幼稚園の建物の脇を通って山に入ります。
こちらの方が登りやすいのだそうです。

歩道はきれいに整備されていて、とても歩きやすいです。
ただ、道がまっすぐなため、思ったよりも傾斜を感じますね。

生えている樹種は、やはりスギとヒノキが多いですが、ところどころに違った木も見られました。
知識がないためすべてを見分けることはできませんが、町長はこれらの木の名前がわかるように、山道沿いの主だった木に名札をつけたいのだとか。
確かに木の種類が分かったら、山を登る楽しさは増すでしょうね!

30分ほどで男鹿岩に到着。
岩の上に木が生えていたりして、ほんの少しの土しかないのに根を張って成長する植物の生命力の高さを感じます。
残念ながら目の前は木々で遮られていますが、ここが切り拓いて男鹿岩と対になっている女鹿岩とをつなぐのもおもしろそうです。
(後で女鹿岩の方も行ってみることになりました)

男鹿岩を過ぎてさらに登ります。
頂上の少し手前には急な上り坂の階段。
マスクをつけたままだとけっこう足にきます。
乳酸がたまっているのが分かりますね。
あと日頃の運動不足も・・・

でもそれを超えると、予想をはるかに超えた素晴らしい景色が広がっていました!
これはいいなあ。
富士山には毎日登ることはできませんが、1時間足らずでこんな絶景を見られるのなら、毎日登ってもいいかもしれません。
弓立山の東側にある周りの山や生活空間にある建物などの様子まで、よく見わたせました。

私はときがわ町の人間ではありませんが、なんとなく「あー、自分たちはこんな世界の中で暮らしているんだ。この風景は絶やしちゃいけない」と、不思議と敬虔な気持ちが湧いてきました。

帰りは舗装された反対側の道を通って、大附という地区に抜けるルートで下山します。
こちらは来た道の自然風景と違って、人の営みの感じられるまた趣の違う道です。
このあたりには、自然と人間の暮らしのバランスというときがわ町の特性を感じました。

途中、日枝神社や世界的な音楽家のオリパパさんのご自宅にも立ち寄りました。(残念ながらご本人は不在でしたが、ステキなお宅を拝見することができました)
また、すれ違う人とは必ず挨拶を交わすことができたことも、ときがわ町の人の素晴らしさだと思います。

温泉スタンドの前を通り、また濃淡のあるピンクや白い花桃などの花を眺めながら、のんびりと三波渓谷の駐車場まで戻ります。
単に山に登って下って終わりではなく、このようにして山と里と人とのつながりを感じながら、ときがわ町を歩く時間が貴重な体験になるのではないかと感じました。

そして女鹿岩へ

駐車場に戻った後、車で女鹿岩に向かいます。
女鹿岩は川を渡って向かい側の山にあるそうです。

車で5分ほど走り、車道の脇のスペースに車を停めて、再び山に入ります。
こちらは植生が広葉樹のあるところと針葉樹の多いところが分かれていておもしろいですね。
女鹿岩という明確な目的があるせいか、登山というよりは「探検」している気分に近いです。

いったん下ってから10分ほど登った頃でしょうか、大きな岩の塊が先の方に現れました。
女鹿岩です!
こちらも岩の上の方から木が生えています。
岩には隙間のようなものができていて「胎内くぐり」のようなこともできそう。

今のところは目の前を木々で遮られているので、男鹿岩を見つけることはできませんでしたが、男鹿岩と女鹿岩をつなぐことで、何かしらのストーリー性を持たせることはできそうです。
まずはメインとなる弓立山、そして男鹿岩をどうやって発信していくかでしょうか。

こうして実際に山に登ってみると、知識だけではない実感としての山の空気のようなものを感じることができました。
そこで分かったことは、「山はそこにある」ということ。
それを活かすも殺すも人しだい。
こうした里山は人の手が入らなければ、すぐに人の手が届かない自然に埋もれてしまいます。
無理に切り拓くということではなく、どのようにして山と身近にいられるかということだと思います。
これだけの魅力的な山が身近にあるのですから、ぜひとも山の恵みをわけていただいて、町の魅力を引き出しながら活用していきたいものです。

まもなく地域商社としての一般社団法人ときがわ社中がスタートしますが、その前に原点となるような視点を得られた気がします。
この気持ちを忘れず、事業に活かしていきたいですね。

一般社団法人ときがわ社中は2021年3月31日の設立を予定しています。
一般社団法人ときがわ社中のHPはこちら