地域通貨の全体像を学ぶ
8月の「月刊お金のはなし」に参加して以来、ハマった感のある地域通貨。
鉄は熱いうちに打てということで、地域通貨関連の本を購入して読んでみました。
初心者なので、『イラストで学べる地域通貨の基本』で地域通貨の全体像を学ぶことにしました。
関係人口、ふるさと納税に続く、第3の研究テーマになっていきそうな予感がします。
地域通貨のおもしろさ!
地域通貨の何が気になるかというと、一言でいうと「お金」と「しごと」は切っても切り離せない関係にある。でも地域通貨を絡めることで、「しごと」の「お金」でない側面に焦点を当てることができるのではないかと考えたためです。
私が目指しているのは、「地域でしごとをつくる人をつくること」、ひいては「地域でしごとをつくる」ことです。
ここでいう「しごと」は単なるお金を得るためだけの活動ではなく、個人の好きやこだわり、個性、ライフスタイルなどが表現された「私事」だととらえています。
地域にそんな「しごと」がたくさん生まれることは、経済の活性化というだけでなく、個人が幸福に向かう自己実現のための活動がたくさん生まれることにつながります。
そんな地域の幸福感、元気、活力は、「円」ではたぶん測ることができません。
では地域通貨であればそれが測れるのかというと、残念ながら私にはまだその答えはありません。
ただ、地域通貨が「お金」ではない価値を測るためのツールであることを前提にするならば、可能性はあると考えています。
今まで測ることのできなかった地域の価値や幸福度といったものを、地域通貨で見える化することができるかもしれない。
たとえば面白法人カヤックが提供している地域通貨「まちのコイン」は、人のつながりを生む行為が生じないと使うことができないため、その流通量を測ることでその地域に生まれたつながりの総量を可視化することが可能です。
人と人とのつながりが地域で一番大切にしたい価値であるとするならば、まさしく地域通貨が地域で最も重要な価値の大きさを測る尺度になり、それはそのまま地域の幸福度を示しているといえる可能性を秘めているように思えます。
幸せを地域通貨で測れるかもしれないと聞くとなんだかワクワクしませんか?
しかしながら、一方で、幸せという数字では測れなかったものが数値化されてしまうということに対しては、そこはかとない怖さのようなものも感じます。
そこもまだ答えはないのですが、結局のところ、何のために地域通貨というツールを使うのかという目的をはっきりさせることが重要なのではないかと思っています。
今後これがどのように事業に活用できるかはまだ分かりませんが、子どもたちを対象にした教育分野で活用している戸田市の事例など、いろんな地域通貨の事例がありそうなので、長い目で追っていきたいテーマですね。
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本書で気になった箇所を以下にまとメモとして公開します。
「⇒」は個人的な意見、感想です。
まとメモ
・地域通貨は主人公ではなく、地域を活性化させるための「つなぎ」のわき役でなければならない
・加盟店は、地域のお金を地域循環させるための受け皿になってもらう場所づくりで、目的は協力者を集め、地域内で補完しあう仕組みを作り「地域通貨を使って地域の課題を解決し、住民生活を豊かにするための仕組みづくりを行うこと」が目的
・お金に名前はついていないため、どのくらいの額が貯蓄に回ったのか、ネットをはじめ域外にどのくらいが流れていったのかを正確に数値化するのはむずかしい。
PART1 お金とは何か?
・お金の3つの役割
①価値尺度(モノの値段を示す)
②交換手段(支払機能)
③価値貯蓄手段(資産の保存)
・お金は持ち運びができる・・・つまり流動性が高いからこそ、人から人へと簡単に渡る・・・お金がしっかり回らないと、GDPも伸び悩み、経済も停滞する
・お金は、国内の生産活動によって価値が裏付けられるという考え方のもとで制度化されている。金融機関から借り入れすると、「信用創造」によって貨幣が生み出される
・お金は日本全国どこでも使うことができる便利さゆえに、2つの問題も抱えている
①お金がたくさんあるところに集まってしまうこと
②お金が金融資産になったこと
→ お金は利用先を限定できない。
地域の経済を活性化させるには、地域内でお金を回すことが必要なのに、貯蓄や投資に回っていては、いつまで経っても地域経済が活性化することはない
・地域通貨をつくる前に、「自分たちの地域の経済はどのくらいの大きさのバケツなのか?」「本当にお金を流さなければいけない場所はどこなのか?」「どのくらいのお金が、誰に必要なのか?」を知る
・現在の金融システムは、国や企業に競争させる性格を持っており、競争を前提として機能している
→ 地域通貨は、連帯、信頼、協働といった共生の原理が働き、円とは異なるタイプの関係性を築くことができる
⇒ 共創関係
PART2 地域通貨とは何か?
・地域通貨は「限定された地域で流通し、決済手段として使われるお金」のこと
・地域通貨は「地域のお金は地域で回す」ためのもの。目的は地域経済の活性化とコミュニティーの活性化。そのために便利すぎる「円」をあえて「限定」させる
①地域の限定
②目的の限定
③期間の限定
・どこでも使える便利な円ではなく、わざわざ地域通貨を使ってもらうには、地域通貨でしか交換できないモノやサービスも必要
・地域通貨がその目的を果たすために、目指す形は2つある
①信用取引・・・地域通貨で円と同じように商品やサービスと交換できる
②信頼関係=コミュニティー
・地域通貨は使えば使うほど幸福度が高まる
→ 地域通貨は使えば使うほど、誰かのために役立ち、地域を応援することになる
・地域マネーと地域ポイント
①地域マネー・・・前払い方式手段(商品券、プリペイドカード)、資金決済法が適用される
②地域ポイント・・・購買活動や社会貢献などで貯まる、景品表示法が適用される
→ 現金でバリュー(通貨、ポイント)を買うことができるかできないかという違い
・「これからどんどん使いやすくなるので、とりあえずアプリをダウンロードしてください」では、誰も使ってくれない
⇒ 地域通貨ではないがマイナンバーカードがまさにそう
PART3 地域通貨で失敗しない条件
・地域通貨が失敗する理由の1つ目は「円の代わりを作ろうとする」こと
→ 地域通貨=決済手段になってしまう
⇒ 円の方が便利だから、地域通貨を使う動機がなくなる
・決済手段としてでは解決できない問題があるからこそ、地域通貨の意義があるはず。「便利な円があるのに、なぜわざわざ地域通貨を使う必要があるの?」という疑問に答えられない
→ プレミアムをつけても「損得」という枠組みにとらわれてしまう
・経済は円の世界。地域通貨は「円の補完」として、円と一緒に地域で使うきっかけづくりをするべき
・地域マネーと地域ポイントの構造の違い
地域マネーは手数料収入が低く、手数料で運営するには大きな流通量が必要
→ 地域ポイントの方が収益性は高く、継続しやすい
・地域通貨事業を始めるのは簡単。お金さえ支払えばシステムはすぐに準備できる
→ 継続するのが難しい
・地域通貨は人と人とのコミュニケーションがなければ成り立たない
→ 一番大切なのは「人」
PART4 地域通貨のつくり方
・経済を回すなら地域マネー
→ 収益率が低く採算に合わない。決済手数料だけで自立自走している事例はほぼない。資金決済法の壁
PART5 事例で見る、地域通貨の実践と運用
・加盟店を増やす上で重要なのは、「核」を作ること。一エリアに固まっているほうが集積効果が出る。その核を中心に、周囲に加盟店を広げていくべき