「まちライブラリー」提唱者の磯井純充さんが本屋ときがわ町にご来場されました

2021年12月19日(日)に開催された本屋ときがわ町では、非常にワクワクする出会いが待っていました。

この日の午後に特別講座「子どもたちの書く力を養う」を主催したノンフィクション作家の神山典士さんのご紹介で、「まちライブラリー」提唱者である磯井純充さんにお越しいただきました!
(神山さん、ご紹介ありがとうございます)

磯井さんがお書きになった『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』や『マイクロライブラリー図鑑』は読んでいたので、ぜひお話を伺いたいと思っていました。
当初は本屋ときがわ町閉店後に開催予定だった磯井さんのセミナーに参加する予定だったのですが、本屋ときがわ町にお越しいただき、運よくお話する機会もいただくことができました。

非常に刺激的なお話ばかりで、視野が開かれました。
私の心の内だけに留めておくのはもったいので、お聞きしたことや感じたことなどをこちらに書き留め、公開したいと思います。

磯井さんとの意見交換から

・イギリスのウェールズに「ヘイ・オン・ワイ」という町がある。人口が1500人くらいしかいない小さな町なのに、古本屋が30軒以上ある。「古本屋の町」として知られている。一番最初に始めた人が、消防署やお城を買い取って古本屋としてオープンした。

・古本屋だけで生計を立てている人が多い印象(ネット販売も含めて)。日本語の本に比べて英語の本は圧倒的にマーケットが大きい。世界中の言語に翻訳される。

・スケールの大きさも重要。日本人はすぐ小さくやろうとしすぎる。日本で「本のまち」として成功しているところが少ないのはそのため。唯一の成功事例といえるのは神保町。
 ⇒ 一つ一つは小規模でも多数集まれば力になる

・ただ本がある、たくさんあるというだけでなく、「本を見せる(魅せる)空間」の作り方をデザインすることが大事。神保町に足りないところはそこだと思っている。

・「本を見せる(魅せる)空間」づくりとしては蓼科親湯温泉が日本一、世界一だと思っている。
 ⇒ HPを検索してみたところ、確かにこれはスゴイです!

・ツーリズムにはグローバルなものと身近なローカルのものがある。コロナをきっかけに明確な違いができた。

・「ブックツーリズム」の可能性。地域でのツーリズムを考えたときに、どうしても四季のものは季節ごとで需給にバラつきがある。本はそれがないので、通年で安定した集客を見込める。
 ⇒ 季節ごとのものと本を組み合わせることで、地域のファン層の基盤を強固にすることができる

このほか、個人的に密かに温め中のアイデアについてもご意見をうかがうことができ、非常に勉強になりました。
数年後にやりたいと思っていましたが、これを機に加速するかもしれないとの予感もありました。
貴重なお時間をありがとうございました!

磯井さんのセミナーから

神山さんの粋なお計らいで、神山さんの特別講座の最後で磯井さんからまちライブラリーのご紹介がありました。

そちらでのお話も興味深い内容でしたので、こちらに書き留めておきます。

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・最初に勤めた会社ではやりがいのある仕事を成し遂げることができて意欲が上がったが、その後、別の部署に異動することになってしまった。何かを成し遂げても別の部署に異動させられるということが会社員だと起こる。人生のライフワークは組織の中でやっちゃいけない
 ⇒ まさに私も公務員時代に経験してきたことですので、お気持ちがすごくよく分かりました

・毎日図書館に通えるという人は限られている。生活シーンのあちこちに本がある状態をつくるといいのではないかという発想から、「まちライブラリー」は生まれた

・「人とつながることが大事」とみんないう。だが実生活では、病院でも役所でも「番号」で呼ばれることが増えた。「個人情報保護」の大義名分から。「人とつながることが大事」と知りつつも、名前すら呼ばれない社会
 ⇒ マイナンバーがそれを象徴しているかもしれません。確かに個人を管理するということにおいては効率的といえるでしょうが、それはあくまでデータを管理しているにすぎない。そこに人と人とのつながりが感じられることはない

・本がコミュニケーションの触媒となる
 ⇒ 本を目的に来る人同士がつながる

・まちライブラリーでは、自分たちの町の本屋、本棚、図書館をつくろうという動きも起こっている。
 ⇒ 組織やグループごとの小規模な本棚が複数あってもいい

・まちライブラリーを訪れる人の7割以上は本の閲覧者。イベント時に来るお客さんなどは2割程度にすぎない。イベントでは平常時よりも一時的に多くの人が集まるが、人が多く集まれば集まるほど、参加者同士のつながりは薄まる。集まる人が多いほどいいというのは主催者のエゴ
 ⇒ ビジネスが目的なのか、集客ツールなのかといった目的は考える必要はある。

・小規模な集まりの良さ。行けば会える、話せる場。

『地域でしごと まちづくり試論』もご購入いただきました

なんとときがわカンパニー合同会社の関根雅泰さんとの共著『地域でしごと まちづくり試論』を磯井さんにご購入いただきました!

嬉しかったので思わずパシャリ!(私の起業のお師匠様である関根さんに撮影をお願いしてしまいました・・・)

磯井さんはとっても気さくで素敵な方でした!
機会があれば磯井さんが手掛けたまちライブラリーや、おすすめいただいた蓼科親湯温泉、ヘイ・オン・ワイにもいってみたいです!

磯井さん、ありがとうございました!