立教大学観光学部西川研究室による小川町の観光まちづくり2021活動報告会
立教大学観光学部西川研究室の皆さまの活動のことを知ったのは、先日訪問した小川町の商工まつりのこと。
「株式会社おいでなせえ」さんとともに出店されていて、和紙の原料である「楮(こうぞ)」に関する展示パネルや和紙芝居、楮の葉でつくったお茶やガレットなど非常に興味を持ちました。
このときに西川先生をはじめ、学生の皆さんに直接お話を伺うこともできました。
私自身、2020年度・2021年度とときがわ町でやっていた「ときがわネットワーク」の活動で、和紙漉きをするまでの楮の手入れなどを観光コンテンツ化することに関わっていたので、隣町である小川町でこのような活動があると知っては無関心ではいられません。
楮の栽培段階での芽かきや皮むき作業をコンテンツとして提供することは実践できましたが、楮を「食べる」という発想はなかったので、正直「やられたー」と思っていました笑
今回は活動報告会開催のタイミングで、商工まつりでいろいろ教えていただいた学生の方にお声かけいただき、参加することができました。
(Wさん、ありがとうございます!)
活動報告で出た内容について、支障ないと思われる範囲でまとメモしました。
活動報告の内容まとメモ
西川先生より
・地域の3要素
①地域社会
②地域環境
③地域経済
→ これらをどうバランスさせるかが持続化のカギ
・「観光」と「まちづくり」
「観光」=「観せる」という行為によって地域が利益を得ること。地域環境から地域経済への働きかけ
「まちづくり」=市民が生活環境を良くしていく取組。地域環境から地域社会への働きかけ
・観光まちづくりとは、観光という「手段」を通じて、地域社会・地域環境・地域経済の維持、向上のために働きかけること
和紙の現状
・1978年に国重要無形文化財に指定。2014年に世界無形文化遺産に登録(細川紙)
→ 一定条件を満たしたものだけが「細川紙」を名乗れる
・町内に3つの楮畑
→ 技術者協会と生産者が連携して栽培管理。生産量は増えつつある
・和紙職人は20名ほど。
楮の資源化
・和紙漉きの前工程をコンテンツ化する
・楮の手入れは芽かきが重要
→ 夏場の暑い時期の作業となる
・芽さき作業だけでもおもしろい!
→ 「森」の中にいるような雰囲気が味わえる
・葉は天ぷらにするとおいしく食べられる。スムーズにしても
→ 栄養も豊富
・地域の飲食店、お菓子屋さんとのコラボ(天ぷら、ガレット)
大学生向けオンラインツアー
・アンケートで和紙への関心が高かったのは観光学部の学生が多かったためか
・現地で、芽かきやランプシェードをつくる体験型のモニターツアーを実施予定だったが、緊急事態宣言のためオンラインツアーに変更
・自宅に「こうぞまるごと体験BOX」を郵送し、オンラインで体験ツアー
・しおりにメモ欄を多く設けた
⇒ 学習ノートの役割。気づいたこと、学んだことをメモしたくなる仕掛け
・オンラインの場合、リアルの場合とで値付けも違う
小学生向け和紙芝居
・当初は親子向けのツアーを企画
→ コロナのため中止
・自分たちが学んだこと、やってきたことをまとめた「和紙芝居」を作成
・小学生興味を持っていた
→ 和紙漉き体験などで、和紙の原料が楮だと知っている子が多かった
・保護者からは「初めて知った」という声も
・「おがわ学」での活用可能性
小川町 松本町長
・楮のことを「コゾ」とか「カゾ」と呼んだ
・皮をむいた後のカズカラ棒で昔はチャンバラをしていた
・和紙をどんどんつくってバンバン売れるかというとそうではないのが現状。大量生産品ではないのでどうしても単価が高くなってしまう
小川町役場 保田氏
・楮の安定供給が課題。高知県や長野県から十分な量の楮が仕入れられないおそれが出てきたことから、楮畑の環境づくりに取り組んでいる
・芽かきした葉を持って帰って天ぷらにして食べるとおいしい
→ この話を聞いた大学生がコンテンツの中に組み込んだ
感想
発表の内容はもとより、学生の皆さんの学ぶ姿勢が非常にすばらしく印象的でした。
学生の皆さまにもいろいろお話を伺うことができ、非常に刺激を受けましたので、諸々含め気づいた点や個人的な感想などを以下にまとめてみました。
・「値付け」
実際にお客さまに提供する場合の「値付け」を考えられていたことに驚きました。
今回のオンラインツアーも実際に大学生を対象に有料で提供したとのこと。
まちづくり系の取組だとつい「無料」で提供してしまいがちなところを、きちんと値付けし、それに対する反応をもらっていたというのがすばらしいと思いました。
・「楽しそう」
コロナの状況が日々変わる中、開催2週間前に緊急事態宣言が発令されたことで急遽オンラインに切り替えるなど、大変なこともあったのではないかと思います。
実際に「やめる」という選択肢もあったそうですが、自分たちで「やる」と決めたのだそうです。
夜間まで準備作業が続くこともあり、「もう二度とやりたくない」くらいの想いもしたそうですが、それでも目の前で報告している彼らの顔は楽しそうで、苦労を乗り越えてやり切ったからこその充実感、達成感に満ちていているように感じました。
・「仲間」
大変なことを乗り越えられたのも、仲間の存在が大きかったのではないかと感じました。
それぞれの得意や関心を活かして、仲間と何かをつくりあげるのは非常にワクワクする体験ですよね。
3年生と2年生がメインで活動し、1年生がお手伝いに来ていましたが、来年度は新2年生の彼らが後を引き継ぐようです。
こうした横と縦のつながりがあるのは大学という場ならではの特色のように思います。
傍から見ていて羨ましく感じました。
・「ときがわ町と小川町」
やはり和紙というと県内では小川町が有名ですが、ときがわ町や東秩父村でも和紙産業があります。
こうした地域との連携可能性は大いにありそうです。
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株式会社おいでなせえの皆さま、立教大学観光学部西川研究室の皆さま、このような機会をいただきありがとうございました。
比企つづき、よろしくお願いします!