『NIPPONIA 地域再生ビジネス』

今回取り上げるのは『NIPPONIA 地域再生ビジネス』(藤原岳史 著)

点ではなく、面で地域を捉えるという視点や具体的な進め方を学ぼうと思い、手に取りました。

5大エッセンス

まずは本書から私が最も印象に残った5つのエッセンスを抽出しました。

特別な観光資源なんてない、と思っていた限界集落にも歴史や文化があり、それらが魅力となって外から人が訪れること。その、人の行き交いこそが地域活性化にはとても重要なこと。また、そこで生業を生むことが重要なのではなく、生業によって地域が持続していくことが大事だということ

→ なんのためにその事業をやっているのか、目的を見失わないように

薄い収益かもしれないけれど、長期的かつ安定的に収益をもたらす事業こそが、地域住民の暮らしを支えていく

→ 一つ一つは小さく細くても、長く続く収益、全体で儲かる仕組み。

NIPPONIAが求めるのは、可能な限り地域との関わりつくり、ときに地域の行事に日帰りで参加したり、地元食材をECサイトや直売所でも購入するなどして、継続的で幸せな関係性を築いてくれるお客様です。その結果、もともとの目的である、そのまつの持続的な発展に貢献できると考えています

→ 理想的なお客さま。付き合いたいお客さまと付き合いたくないお客さまを意識する

一つ一つののまちづくり活動を「NIPPONIA」という言葉で一括りにしているのは、マーケティングやブランディングの効率を上げていくためでもあるのです。
「NIPPONIAという冠がつくんだったら、こういうことだよね」ということがすぐに頭に浮かぶようになれば、たとえ一つ一つの地域があまり有名で出なかったととしても、まとまって戦うことで一大観光地とも互角、あるいはそれ以上に渡り合えるのではないかと考えています

→ 「ときがわ社中がやっているのはこういうことだよね」が頭に浮かぶようなイメージができていくといい

官民連携においては、官と民の中間となる組織がそれぞれをうまく結びつけていく必要もあります。まちづくりは開発会社は、官と民の乗組員が同じ方向に進んでいくための役割も担っている

→ 個人事業(まなびしごとLAB)としての役割

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その他、本書で気になった個所をまとメモとして書き留めます。

まとメモ

プロローグ すべての学びの減点

・ワークショップを始めたばかりのころ、住民のみなさんは「うちは何もない集落だし・・・」と消極的な姿勢でした。
しかし、外部の有識者の方々が地域の資源を次々に掘り起こしていくと、「意外とうちも捨てたもんじゃないな」と自信をもつようになってきたのです。さらに回を重ねるごとに、集落のみなさん自身が自分たちの集落の課題に対して、自然と意見を出すようになりました。・・・ワークショップや勉強会ではこうした流れが繰り返されて住民同士の団結心が生まれ、「自分たちの村は自分たちで何とかしたい」という意識改革につながっていったのだと思います

・すでに集落を出ていしまっている人でも、土地や家がある限り変わらず集落の住民だという考え方がそこにはありました。空き家が集落の未来のために使われることと、それらの事業を住民全員が共有していること。空き家の事業化に重なるそうしたポイントについて学んだ瞬間でもありました

・プロジェクトを通して地域外との交流が生まれたことで、集落に様々な取組が広がっていったのです。こうした流れは誰かが戦略的に仕込んだものではなく、自然な成り行きで生まれたものです。ただ、そのつながりがいい作用を生み出すためには、何よりもまず集落の方たちが”ヨソモノ”を受け入れる広い器をもっていないといけません。このことは、丸山集落に多くの方が関わっている最大の理由なのではないかと思っています

・滞在を通してつながりができ、新しい関係性が生まれる。そんな交流はお客様も集落の住民も嬉しいですし、集落の方にとっては新しい活力にもなります

・この事業を成り立たせるうえで一番重要なことは、「集落の負担にならないようにすること」です。プロジェクトの目的は、あくまで集落を持続させていくことにあったので、集落の方の無理のない範囲で運営を維持できなければ意味がありません。そういう意味で、稼働率30%というのは運営を担う集落の方たちにとって、普段の生活に無理が出ない丁度よい数値だったのです

・「集落丸山」での宿泊事業を、”地域の暮らしを100年先まで続けていく”ための「地域の営み」と捉えたとき、関わる人間が世代交代などで変わってしまうことで、その目的が置き去りにされてしまう可能性もあります。そこで地域の組織、外部の組織がそれぞれ取り組むのではなく、一つの目的を目指して同じ器(有限責任事業組合丸山プロジェクト)のなかで協力して取り組むことで、それぞれの役割が明確になり、人が変わっても軸をブラさずに事業を続けていくことができる

・特別な観光資源なんてない、と思っていた限界集落にも歴史や文化があり、それらが魅力となって外から人が訪れること。その、人の行き交いこそが地域活性化にはとても重要なこと。また、そこで生業を生むことが重要なのではなく、生業によって地域が持続していくことが大事だということ

第1章 全国に広がるNIPPONIAという”まちづくり開発事業”

・地域を知ってもらう、感じてもらうためには、その地域に長く滞在してもらうことが一番です。開発の最初に、地域の滞在拠点として宿泊施設の開発を行うことが多いのではそのためです

・再現性を高めるためには、やるべきことを明確にする必要があります。誰が何をやらなければいけないのか、もっというと、NOTEとノオト側にしかできないことと、ぼくたち以外の人たちにやっていただきたいことを切り分けたうえで、NIPPONIAの価値や意義を全員が見失うことなく、それぞれのプレーヤーに無理なく役割を分担していく必要があります

・あくまでNOTEは伴走者であって、主体者ではありません。一番やってはいけないのは、伴走者が主体者になってしまうことです。地域の暮らしを持続させるためには、やはり地域が主体になることが重要なのです

第2章 地域を変革する古民家を活用した再生事業

・地域内でハレーションを起こさずに物事を進めていくために大事なのは、「合意できる可能性のある場」「意思決定できる場」を分けること

・地域のなかにまちづくりの事業体をつくることのメリット、「物件の所有者の信頼を得やすい」

・単純に儲かりたいだけであれば、市場の論理に任せて、1つの方程式にあてはめて、最大限の収益を取っていく方法を選ぶでしょう。でも僕たちはそうではない。泥臭いところをめんどくさがらずに向き合っていく。そこにNIPPONIAとしての価値が出てくると考えているからです

・薄い収益かもしれないけれど、長期的かつ安定的に収益をもたらす事業こそが、地域住民の暮らしを支えていく

・コンビニエンスストア、ドラッグストア、ビジネスホテルなど、全国規模で展開する大企業を誘致することはありません。もちろん全国一律で、一定以上の質が担保されるナショナルチェーンの存在を否定するつもりはないのですが、有名観光地でもない地域に人を呼び込むならば、その地域を訪れる目的になるような地域に根差した個性ある事業者が求められます

・NIPPONIAが求めるのは、可能な限り地域との関わりつくり、ときに地域の行事に日帰りで参加したり、地元食材をECサイトや直売所でも購入するなどして、継続的で幸せな関係性を築いてくれるお客様です。その結果、もともとの目的である、そのまつの持続的な発展に貢献できると考えています

・一つ一つののまちづくり活動を「NIPPONIA」という言葉で一括りにしているのは、マーケティングやブランディングの効率を上げていくためでもあるのです。
「NIPPONIAという冠がつくんだったら、こういうことだよね」ということがすぐに頭に浮かぶようになれば、たとえ一つ一つの地域があまり有名で出なかったととしても、まとまって戦うことで一大観光地とも互角、あるいはそれ以上に渡り合えるのではないかと考えています

第4章 NIPPONIAがもち”革新性”とは?

・NIPPONIAの開発では地域のニーズや出店希望を見ながら開発を進めていくことになるため、地域はゆっくりと持続的に関わり続けていきます。その間、地域の個を反映させたり、地域の個性が活きるような独自性のある出店希望者を集めることにもつながります。

第7章 観光まちづくり事業が進む愛媛・大洲に見る「官民連携のあり方」

・官の役割と民間の役割を分けていくと、どうしても中間の部分がポッカリとあいてしまい、官民がそれぞれ別に動いているにすぎなくなりがちです。
有名観光地や都市圏であればそれでもうまくまわっていくかもしれませんが、それ以外の地方のまちづくりでは、人口減少社会に入って地域経済が膠着状態となり、なおかつ地域資源が限られているなかでは難しいと言えます。
そこで官民連携においては、官と民の中間となる組織がそれぞれをうまく結びつけていく必要もあります。まちづくりは開発会社は、官と民の乗組員が同じ方向に進んでいくための役割も担っているのです。
つまり、官と民の両方の人材や資金が投入された中間組織が官民連携を促進していくことで、地域全体で一貫性のあるまちづくりを実現できるということです

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