寄居町フィールドワーク

2023年3月2日(木)、友人にお声かけいただき、埼玉県大里郡寄居町のキーマンを巡るフィールドワークに参加してきました。

寄居町でいろんな事業分野に取り組んでいるキーマンの方々にお会いすることができ、非常に濃密な時間を過ごすことができました。

また、一緒に参加していた方々も魅力的で、とても1日では詰め切れないほどの情報量でした。

今回の巡った場所やプログラムは以下のとおり。

  1. 寄居町商工会の活動
  2. 寄居ドレメ(リノベ中物件)見学寄居町 地域おこし協力隊 大田さんの活動
  3. 空き家リノベ中物件
    ①ランステ(オーナー夫妻ご紹介)
    ②アトリエRIKA(空き店舗利活用支援先)
    ③寧日(古民家利活用 創業先3/3オープン)
  4. 枕流荘 京亭
  5. rutsubo(つばめ舎建築設計、中央園芸)
  6. mujaqui

改めて見ているだけで鼻血が出そうなプログラムですね(いろんな意味でw)

当然ながらすべてを書き留めることは不可能でしたが、当日お話を伺って印象に残ったこと、気づいたことなどを以下に簡単に書き留めました。

1 寄居町商工会の活動

旧洋裁学校ドレメの施設にて、寄居町商工会の笠原さんから説明。

〇小川町商工会への出向期間に取り組んだこと
・小川町商工会に出向 平成28年7月~平成30年6月
・空き店舗補助金創設
・創業支援
・玉成舎 歴史産業遺産(景観保全)×商業複合施設(新たな価値)

〇寄居町概要
・町内3路線9つの鉄道駅がある(秩父鉄道、八高線、高崎線)
・深谷アウトレット~秩父間の中継点
・最北限のみかん栽培地
・豚食文化 屠場(食肉センター)があり、ホルモン文化があった
 → 東松山のやきとり(やきとん)
・京亭 1棟貸の宿泊施設サービスも

〇地域課題解決型事業による関係人口の創出と寄居町の新たな魅力の創造
・寄居町の主要産業 製造業 輸送用機械器具製造
・製造品出荷額 ホンダ前40%→ホンダ後92%
・地域の課題×地域事業者の課題
 → 寄居町価値創造プログラム LAYERS HOOP YORII
  ①新たな価値の創造
  ②関係人口の創出
  ③移住・創業の発展
・駅前に商工会館 共創施設×実践拠点
・中心市街地×空き店舗 従来の商店街機能を取り戻すのは難しい。新たな価値をつくる発想で
・手仕事現場ツアー、オープンファクトリー

2 寄居ドレメ(リノベ中物件)見学寄居町 地域おこし協力隊 大田さんの活動・空き家リノベ中物件

この日の前半の会場となった「ドレメ」は旧洋裁学校だった場所。

庭を借りてのイベント開催をきっかけに、現所有者からお借りしているそうです。

ほぼ当時のまま手つかずの状態だったため、不要なものとそうでないものとの整理や片付けが大変だったとのお話がありました。
まだ電気も通っておらず、トイレなどのインフラもこれからということでした。

ただ当時の建物や調度品がそのまま残っているため、非常に趣のあるおもしろい場所だなあと思います。

11月に開催されたドレメフェスタにお邪魔したときにも感じたことですが、改めて訪れてみてもそう感じられました。

その他、太田さんから地域おこし協力隊としての活動や個人の活動についてのお話がありました。

●太田さんの活動
・もともと不動産鑑定や仲介の業務経験があり、その後、DIYやリノベーションに関する事業を手がけていた
・LAYERS HOOP YORIIに参加したことをきっかけに寄居町に移住
・「帰宿隠坐」
町から管理委託、オーナー不在型民泊事業、1棟貸し
・地域おこし協力隊は3月で卒業

3 空き家リノベ物件

①ランステ(オーナー夫妻ご紹介)

最初に訪れたのは、都内から移住したきた馬場夫妻がリノベーション中のランステ(ランステーション)。

トレイルランがご趣味だそうで、このあたりは山がすぐ近くなのにランナーやサイクリストが立ち寄れる出発点・休憩所がないと感じていたそうです。

小川町と迷ったそうですが、寄居町を選んだ決め手はアクセス。
駅に近く、山までも近いこと(走って10分)。
東京方面からも熊谷方面からもちょうどいい距離であること。
近くに川もあり、アウトドア全般の出発点としてちょうどいいといいます。

今後はシャワー、着替え所、休憩所としてのランステーションとして、建物をリノベーションしていくそうです。

室内も見せていただきましたが、ここもすごく趣のある建物です。

お茶の教室などもされていたそうで、古い本がたくさんある書庫も興味をひかれました。


②アトリエRIKA(空き店舗利活用支援先)

次に訪れたのは空き家をリノベーションしてオープンしたアトリエRIKAさん。
オープンして8年になるそう。

オーナーの加藤さんは「いつくしみ」をテーマに事業を展開されているそうです。

内装がすごく素敵で、「しつらえ」という表現がしっくりきます。

古い着物や想い出の詰まった着物類をリノベーションして、服や生地に仕立てているそうです。

単にモノを売るだけでなく、お客さまとの1対1の関係づくり、開かれた工場、つくる場所と売る場所の一体化といった新たな商店街の機能が感じられました。


③寧日(古民家利活用 創業先3/3オープン)

次に訪れたのは、翌日にオープンを控えたカフェレストラン 寧日(nei jitsu)さん。

寧日には、「心安らぐ日」という意味があるそうです。

寄居町出身で、料亭の息子として育った栗原さんが、自分らしい空間をつくりたいと独立したとのことです。
すごく落ち着いて温かさを感じる空間です。

設計は同じく寄居町出身で同級生の関口さん。

お二人の関係もお互いへの信頼や尊敬が感じられて素敵でした。

今度来るときはレストランで食事をいただいてみようと思います。


3 枕流荘 京亭

荒川の川岸に立つ、鮎料理が有名な料亭 枕流荘 京亭さん。

建物も重要無形文化財に指定されているそうです。
最近は1棟貸しの宿泊施設としても営業しているそう。

なんといってもここから見える荒川の景観が圧倒的。
川の向かいには鉢形城跡も見えます。
ここから見る水天宮祭は最高でしょうね。

特別に建物の中も見せていただきました。

建築のことはあまりよく分かりませんが、そこかしこに設計士さんやオーナーさんらのこだわりが強く感じられます。

ここでの食事や宿泊は体験として非常に高付加価値なものだと思いました。
唯一無二の体験ですので、ふるさと納税の返礼品としてもいいですよね。

なかなか個人では訪れることはないので貴重な体験でした。

4 rutsubo(つばめ舎建築設計、中央園芸)

次に向かったのは、共創型ローカルプロジェクトセンターを掲げているrutsuboさん。
個人的にすごく楽しみにしていました。

まずはつばめ舎建築設計の根岸さんのお話。

「まちづくり」というと垣根が高く、お堅い印象を受けるので、「まちプレイ」と言っているそうです。
目標としているのは、「まちプレイヤーを増やすこと」

自らも、「まちプレイヤー1号」(根岸さん)、「まちプレイヤー2号」(尾形さん、この日は不在)、「まちプレイヤー3号」(加藤さん)の肩書を名乗っていました。
おもしろい!

〇ミヤゲーション
・お土産をつくる、土産づくりを通じたファンづくり
・地域資源×地域事業者×クリエイター
・全5回プログラム

〇シェアキッチン 喫茶部
・自分のお店ではなく、みんなで一つのお店をつくる活動(喫茶部)というイメージ

〇未来妄想スナック

一つ一つの事業が気になりすぎます。

次に中央園芸の押田さんのお話。

土中環境に配慮した植栽活動を展開しています。

公共空間の暫定利用の取組であるGood Parkはおもしろいですね。

街路樹の管理を、地域の個人だけでなく、企業からも賛同を得てNPOとして民が担うというのは新しい発想です。
街路樹を行政が画一的、一括して行うのではなく、地域に必要な植栽を地域の手でつくり、管理していくという選択肢が生まれますね。
おもしろいです。

山、中心市街地といったそれぞれのエリア単独ではなく、連続した地域ととらえ、しかも単独の行政単位に縛られずに(荒川)流域として考えるというお話にも興味をそそられました。

5 mujaqui

最後に訪れたのはイタリアンレストラン&ゲストハウス mujaqui(むじゃき)さん。

オーナーの上田さんは今回最もお会いするのを楽しみにしていた方です。

先日、結婚記念日に妻とお邪魔して料理をいただきましたが、今回は上田さんにお会いすることができて嬉しかったです。

お話もすごく興味深いものばかりで、ノートに書く手が止まりませんでした。

〇概要
・寄居町出身
・2018~2020年度 寄居町のタウンマネージャー
・前職はJTB総合研究所
・離島に興味 → 離島コンサルタント
・離島総合研究所
・並行して地元の事業。商号「なとね」
 ①菜と根
 ②「な」は一人称、「ね」は他の人と共有する語尾

●寄居町での取組
〇100人会議
・わからんナイトが前身。
・ただ続けるのはしんどい
・100人会議は終わりがある

〇ヨリママ 仲間と

〇LAYERS HOOP YORII
・創業支援プログラム 創業×関係人口づくり
・メンター講師の伴走

〇Good Park
・コロナがきっかけ 屋外で飲食できるところがない
・事例がない → 事例をつくる取り組み
・個人だけでなく、企業の協力者を得てNPO設立、町と協定
・本庄市でも展開

〇なぜタウンマネージャーをやめたか
・まちづくりは進んでいるが、創業が進まない、増えない
・イベントの日は盛り上がるが、「それ以外の364日」は変わっていない
・プレイヤーが増えないなら、タウンマネージャーをやっていても意味がない


〇mujaqui
・できたらいいなと思うことを、なるべく地元でできるようにしたい
・「外で稼いで、地元に投資する」
・空き店舗を飲食店にするという取り組みを、地元に人に見せたい、外から人を呼び込む
・そのためには観光の要素が必要
・旅行業(2種)保有
・人と投資を呼び込むまちにしたい
・人が動くからお金が動き、経済が回る
・人の導線をつくるのが観光
・そのために場所の導線、時間の導線をつくる、つなげる
・これからはたくさんの人に来てもらうではなく、「同じ人に何度も通ってもらう」時代
・高稼働で馬車馬のように働くのではなく、高単価で低稼働でも継続できるようにしないといけない
・団体旅行
 → 観光地に自主性がなくなる、画一化
 → 儲かりにくい構造がある、手数料とられる
・来る人はみんな一緒のことをやるのではなく、人それぞれやりたいことが違う
・地域という面的なまとまりで勝負する、お客さまの情報を自ら持つ
・大手サイトを経由したのでは手数料がとられる、お客さまの情報も残らない
・近いところで、いろんなことが同時に動いていて、日常を楽しく過ごせる状態にする
・自分がやりたいと思うことではなく、こうなったら楽しんじゃないか、地域の人たちに必要とされるものをつくる

〇mujaquiのこだわり
・自然の循環の中で生まれ出たものだけ使う
・結果的にジビエしか使えない(ジビエを使うことが目的ではない)
・食材、プロセスも包み隠さずオープンに。隠すものはない

共感するところが多く、またぜひじっくりお話をお聴きしたいですし、意見交換してみたいですね!

まとめ

なかなかゆっくりと振り返る時間がとれないでいるため、雑駁な内容になってしまっており読みづらくて恐縮です。

また改めて寄居町をゆっくり歩いてみたくなりました。

アテンドいただいた笠原さん、お声かけいただいた矢ヶ部さん、ご対応いただいた皆さま、貴重な機会をありがとうございました!

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