まず「何を考えればいいのかを考える」
本書を読んだときに、まず思い浮かんだのが、
何を考えればいいのかを考える
というもの。
これは私が何か作業を始める際のクセにしているやり方。
以前に読んだ森博嗣さんのミステリーの登場人物のセリフなのですが、これがものすごく気に入ったので、使わせてもらってます。
時間を無限に使えるのならいいけど、限られた時間でいかに最大の成果を上げるかがビジネスパーソンには求められています。
いや、時間が限られているからこそ、どうやって進めたらいいか、どうやったらいいものがつくれるのかという工夫が生まれてくるのかもしれません。
そんな中で、『論点思考』は非常にシンプルでわかりやすい思考の道筋を与えてくれます。
「何を考えたらいいのかを考える」も、毎回ゼロから考えていたのでは効率が悪い。
思考をまとめていくときの基準がここでは示されていて、これは使える!と思いました。
ますは発散思考である程度論点候補を拾い出したら、次に論点を絞り込む。
そして論点を確定していくことになるのですが、重要なのはそれはあくまで現時点での「仮設」にすぎないということ。
その先を組み立てていったときに、うまくハマらなければ場合によっては最初からやり直すこともありえます。
一見、逆に効率が悪そうに見えますが、仮説をもとにトライ・アンド・エラー(私はトライ・アンド・ラーンといっていますが)を回せるので、正しいのか間違っているのかの結果がすぐ出て、そこから改善につなげることができます。
いわゆるリーンスタートアップの考え方ですね。
私のメンター起業家は、それを「小さなpの、pDCA」といったりしています(うまい!)
では、論点を絞るときは、何に注目したらいいのかですが、そこにも本書はシンプルな考え方を提示してくれています。
それには3つのポイントがあります。
①解決できるか・できないか
②解決できるとして実行可能(容易)か
③解決したらどれだけの効果があるか
まずは解決できることに取り組むこと、そして容易に解決できて、かつインパクトの高いものに当たりをつけるという考え方です。
すごく分かりやすい!
そもそも解決できないものを考えても仕方がないし、解決可能でも準備に長い時間がかかってしまっては成果が出るのが遅くなります。
かといって、いくら簡単に実行できても、微々たる成果しか生まないのでは、費用対効果、時間帯効果が低くなってしまいます。
なので、よりスピーディーに、よりもたらすインパクトが高いものに取り組むのが良いということです。
これは「小さな成功体験を積む」ということにも通じるかもしれませんね。
よく考えるのはいいことですが、頭の中でグルグル思考を回してばかりいても現実は何も変わりません。
小さなことでは人に話す、そしてやってみる、そういったアウトプットを繰り返しながら、思考を現実に近づけていくことが重要ですね。
かくいう私も、インプットや考えるのが好きなので、アウトプットは苦手なところです・・・。
まあ、でも起業した身ですので、そんなことも言っていられません。
1日1%を積み上げて、日々実行、日々改善に取り組んでいきます!
まとメモ
・論点思考のメリットは、論点設定を正しく行なうことで、考えるべきことは限定され、考えなくともよいその他の多くを捨てることができること
あなたは正しい問いを解いているか
・新の問題に問題に気づく力こそ、現在のビジネスパーソンに最も必要なもの
→ 最上流の問題設定段階で間違えたら、その後、一生懸命に問題を解き、解決策を実行したとしても解決しない。成果は上がらない。時間とエネルギーだけを大きくロスすることになる
⇒『ニュータイプの時代』(山口周)においても、これからの時代は問題解決能力よりも、問題発見能力が重要になると述べられている。AIやロボティクスなど問題解決手段や問題解決できるスキルを持っている人が増えている。想定的に、問題発見をする人が少なくなっている。
・論点思考とは、「自分が得べき問題」を定義するプロセスである。自分の仕事で成し遂げるべい最終的なゴールが大論点である
論点候補を拾い出す
・「いろいろな不具合が生じている。なにが真の問題であるかは明確ではないが、会社を改善したい」と経営者が思うとき、コンサルタントの出番となる
・論点思考のステップ
①論点候補を拾い出す
②論点を絞り込む
③論点を確定する
④全体像で確認する
→ 必ずしも順番ではなく、行ったり来たりする
・企業のかぎりある経営資源をすべて防犯対策や指揮命令系統にあてるわけにはいかない。数ある論点の中から、いま解決しておかなければならないこと、あるいは、これだけは解決しておかなければならないことに絞って手を打つ必要がある
・「この問題は誰の問題なのか」と考える必要がある。問題は人によって変わる
→ 論点は動く
当たり・筋の善し悪しで絞り込む
・経営者が問題意識をあまりもっていない分野に注目する
→ 経営者が関心を持っている分野は、企業の中でも比較的しっかりマネジメントされているのに対し、経営者があまり関心をもっていない分野に大問題が潜んでいたり、改善の宝の山があったりすることが多い
・筋の善し悪しを見極めるポイント
①解決できるか・できないか
②解決できるとして実行可能(容易)か
③解決したらどれだけの効果があるか
⇒ 解決できない問題を解こうとしてもムダ、解決できる問題でも実行できなければムダ、解決してもインパクトが小さければ効果的ではない
・問題を解くとき、「一番重要な問題から解く」という方法と「解ける問題から解く」という方法がある
→ 後者の方がうまくいく可能性がある
⇒ とはいえ、インパクトの薄い「解ける問題」ばかり解くのも労力の割に効果が薄い。イシュー度と解の質という『イシューからはじめよ』の指摘が参考になる
・筋の善い論点とは、かなりの確率で答えが出そうな論点であり(必要条件)、解決策を実行したら、企業として成果が上がりそうなもの(十分条件)
全体像を確認し、論点を確定する
・論点というのは相手の論点である。自分の論点ではない。どうしたら相手が納得してくれるかが重要なのだ
→ 自分にとって重要かどうか、あるいは自分がやりたいか、やりたくないか、自分で解けそうか解けないかではなく、相手の立場で考えることが必要(コンサルタントとして)
・私自身がコンサルタントとして顧客に問題解決の提案をするときに一番大事にしているのは、論点とアプローチが、いかに相手を「わくわく、どきどき」させるかということだ
・「わくわく、どきどき」が必要なのは、問題解決策を実行するのが人間だからだ。人間が「これをやってみよう」「トライしてみよう」「ちょっと大変かもしれないけれどもがんばろう」と思わないと、モチベーションがわかない。それらがわくような解決策が、実行されやすく、成功につながりやすい、共感を呼びやすい
⇒ 問題解決型の価値に加えて、「わくわく、どきどき」という価値創造型の付加価値がある
・自分が解決しなくてはいけない仕事はなにかと考える。いまなにに答えを出そうとしているのかを考える。なんのために、なにを解決するのか、どういう問いに白黒をつけるために、自分の時間を注ぎ、いかに会社の役に立っているのかを考える
⇒「会社」のところを「顧客」や「社会」「地域」と置き換えてみるとしっくりくる