まなびしごとLABの風間です。
こんにちは!
今回、ご紹介する本は、株式会社まめくらし代表取締役 青木純さんの『PUBLIC LIFE』です。
北坂戸地域でいろんな活動を始めてから、改めてまちづくりや公と共、パブリックといったことを学び直している中でこの本に出会いました。
杉戸町のしごと創造ファクトリーひとつ屋根の下に新しくできた「100人商店街」で、青木さんをゲストにトークイベントが開催されることになったため、参加に先立ちこの本を読んでみました。
なかなかここまで赤裸々に書かれている本はないかもしれません。
本を読み、トークセッション「青木純さんから学ぶパブリック」に参加して、さらに理解を深めることができました。
また本を読み返して、自分に置き換えたときにどんなことができるか、やりたいかをじっくり考える時間をつくりたいと考えています。
まずはいったん本を読んでの学びを書き留めておきます。
『PUBLIC LIFE』からの5エッセンス
まずは本書から印象に残った5つのエッセンスを抽出してみました。
よい湯加減だから、ありのままリラックスして居続けられるパブリック。
⇒ 自分が居心地よくないと続けられない。自分にとって居心地がいい状態とはどういう状態か。
自分が「この人と一緒に」と思えない人を事業の相手にしたらうまくいかないのだ。
⇒ ミニ起業家としてのビジネスの基本。自分が付き合いたい相手を選ぶこと。大家業はビジネスである
・人格の見えないロードサイド店のような空間でまちを満たすのはもうやめて、「自分たちでつくったもの」でまちを構成していけば、暮らす人たちがまちに愛着を持ち始める。大家たちは、そうして自分の仕事をパブリックに還元していくことになる。
⇒ 大家に限らず、地域に関わる仕事をする人に共通して言えること。自分たちごとのしごとをまちに増やすと、まちが変わる。
・「居心地」とは罪深いものだ。居心地がよくなくても、生死に関わるほどではない。だから大抵、よくなくてもそのまま放っておかれる。公共空間の居心地の追求なんて後回しもいいところだ。でも、居心地のよくない場所から、人は去る。
⇒ 「居心地のよくない場所から、人は去る」というのは当たり前のようでいて忘れがち。この大前提を忘れてはいけない。
海外と大きく異なる部分は、日本は大企業への社会的信用が絶大であり、小さな組織の社会的信用はいつまでたっても大きくならないというところです。・・・だとするとその両者がコラボレーションした組織にすることで、小さな組織のクリエイティビティやフットワークと、大きな組織の信用力と資本力と人材力とを融合することによって両者の強みを活かしていく他ない。
⇒ 小さな組織だけではできないこともある。これまでなかった視点。ここは意識しておきたい。
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このほか、本書を読んで気になった個所を以下、まとメモとして書き出していきます。
まとメモ
はじめに
・よい湯加減でありたい。パブリックの中で意識していることを一つ聞かれたら、そう答えるだろう。
・よい湯加減だから、ありのままリラックスして居続けられるパブリック。
・なぜパブリックが必要なのか。・・・暮らしのすぐそばに顔の見えるパブリックがあって、挨拶や何気ない会話ができて、誰かに頼れる、頼られる関係があってほしい。
・先進国(G7)の中で10~19歳の死因の1位が自殺であるのは日本だけである。なんとも悲しくなる状況ではあるが、高齢者も若者も自分が依存できるパブリックの選択肢があれば、こうした状況を少しでも改善できるのではないだろうか。
・家や飲食店、公園やストリートにいつだって会いに行ける、頼れる存在=よい湯加減のパブリックがあれば、もっとしあわせに暮らせるのではないか。
1章 大家という仕事をひらく
・歴史を重ねる価値がない不動産とはつまり、”竣工時に最も価値がある”ということだ。時を経るごとに、古くなり、価値が落ちる。
・入居者募集を不動産会社に丸投げしたり、うまく回らないことを管理会社のせいにしていたら、大家というビジネスに真剣に向きあえないはずだ。
・大家は入居者がどんな人で、どんな暮らしを送っているか知ることもない。入居者も大家も互いの顔さえわからず契約関係を結ぶ。
・住人とのコミュニケーションをとるようになると、「うちの物件に入居してもらいたい人」というイメージもできてくる。
・自分が「この人と一緒に」と思えない人を事業の相手にしたらうまくいかないのだ。
⇒ 「お客さま」を選ぶ起業家マインドが大家には必要
・賃貸住宅は、月々支払いを重ねてもその物件が自分のものにはならない。つまり住人は「時間」に対価を払っているわけだ。それに対して大家は、住人の時間の価値を高める努力をするのが仕事だ。
・経年劣化から経年優化へ。ハードだけではなしえない、ソフトの影響は思いのほか大きい。
・人格の見えないロードサイド店のような空間でまちを満たすのはもうやめて、「自分たちでつくったもの」でまちを構成していけば、暮らす人たちがまちに愛着を持ち始める。大家たちは、そうして自分の仕事をパブリックに還元していくことになる。
⇒ 大家にパブリックマインドが生まれれば、まちは変わる
・大家は、まちの未来をつくる職業
2章 家をひらく
・集まって暮らす豊かさは、自分の興味だけを叶えたいという住人の集合体ではきっと生まれない。それは”他者と暮らす”ことを受け入れ、つながりあう、自立した個人同士の関係から生まれるものではないかと思う。
・情報を共有しあう文化は、僕たちの暮らしの中にすっかり根づいている。・・・身のまわりの欲しい情報を共有しあうと、地域のことが立体的に捉えられるようになり、地域への愛着も増す。
・自分の暮らしを良くしたいという身体が欲する願いは、やがてまちへの意識を変えていく。
3章 飲食店をひらく
・まちを”使う”だけの立場だと決してわかりえないことが、”つくる”ことでわかってくる。まちに欲しいと思うものは、自分でつくり、そして続ける。
・店の内側から外側から、様々な角度から考え続けていくとまちのこともよくわかってくる。そうすると、自分が活きることと、店が立ち行くことと、地域の人たちがこのまちで幸せに生きられることを重ねて解決する方法が見えてくる。
・生産者の顔を思い描きながら食べることを楽しめば、生活のプロセスを大事にする”生活者”になる。そして生活者は、生産者の応援団になっていく。
・その場所に居合わせた人たちは、たとえ知り合いでなくとも「その場所を好きな人同士」だと言える。そんな人たちが居合わせれば自然とコミュニケーションが生まれ、ビジネスが生まれることもある。こうした出会いの場づくりはまさに、公共空間的発想ではないだろうか。
・誰もが自分の場所だと思えるような飲食店が家の近くにあれば、そこが自宅のリビングの延長になる。
4章 公園、ストリートをひらく
・市民からの提案を管理者に受け入れてもらうという回路が存在しない。あったとしてもごくごく細いものであるのは苦しかった。
⇒ 必ずしも1対1の関係でなくていい。間を取り持つ存在や機能の必要性(中間支援機能)
・これこそが、「前例主義」なのだ。いい前例をつくることで、やれることは確実に増えていく。
⇒ できるようにするためにはどうすればいいのかを考える。相手との共通の目的をつくる
・一般的な店舗の作法とは違う「屋外ならではの売り方」があり、その売り方を体得していくお店はどんどん成長するということだ。成長する店は、まちの様子をよく観察している。自分たちが売れることだけでなく、リビングループという空間が成長することを一緒に楽しんでいる。
・パブリックのつくり方は、大きくても小さくても同じだ。本当に自分らしく生きられる場所をつくること。
・イベント時に屋台などがずらっと並ぶなかでキッチンカーがあると存在感があるが、2台のキッチンカーがぽつんと並んでいても購買意欲が掻き立てられない
・社会実験は、未来のあるべき姿を明確にイメージしている者のみに有効に働く。日常づくりは非日常づくりよりも格段に難しく全方位的な確認が不可欠なのだ。
・コロナ禍において、数少ない良かったことの一つは、数を追い求める賑やかしからの解放だ。自分の違和感を和らげるために自分たちの業務である「賑わい創出」にこっそり「笑顔の」と枕詞をつけるようにした。笑顔の賑わいは「居心地」がよくないと絶対に生まれない。
⇒ 何を「賑わい」とするかは非常に重要。そこで目的や指標が決まる。
・「居心地」とは罪深いものだ。居心地がよくなくても、生死に関わるほどではない。だから大抵、よくなくてもそのまま放っておかれる。公共空間の居心地の追求なんて後回しもいいところだ。でも、居心地のよくない場所から、人は去る。
・海外と大きく異なる部分は、日本は大企業への社会的信用が絶大であり、小さな組織の社会的信用はいつまでたっても大きくならないというところです。・・・だとするとその両者がコラボレーションした組織にすることで、小さな組織のクリエイティビティやフットワークと、大きな組織の信用力と資本力と人材力とを融合することによって両者の強みを活かしていく他ない。
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