『子どものまちのつくり方 明石市の挑戦』の読書記録。
「子育て」政策で注目を集めている明石市の事例リサーチ。
著者は明石市長の泉房穂氏。
まとメモ
はじめに
・「すべての子どもたちを まちのみんなで 本気で応援すれば まちのみんなが幸せになる」
・主体は、「まちのみんな」です。子どもをその親任せにしたりはしません。行政も地域も一緒になって、まちのすべての子どもたちを支えるのです
序章 いま、明石が熱い
・近くに大きな都市圏、経済圏があることで、市域を超えた人の往来も多く、大きな影響も受け、与えてもいます。近隣から子育て世帯が数多く転入してくる一方で、15~19歳の層だけは、毎年、転出超過です。今も流出が続いています。・・・言い換えると、周辺の大都市と共創して、無理やり大学や企業を誘致しなくても、市民の生活実態に即した圏域で「学ぶ」「働く」を担保できているのです。これは明石の大きな強みにもなります
⇒ 一つのまちだけでなく、近隣地域を含めた圏域として地域をとらえている
・「学ぶ」「働く」は市外で。この分野で明石が大きく投資をして無理を重ねたところで、周辺都市よりも抜きんでるのは容易ではありません。それよりも明石は「暮らす」に重点を置きました。コンパクトで交通利便性の高い中核都市の強みをいかし、思い切って暮らしやすさに特化した自治体経営にシフトしたのです
・最初のころは大っぴらに反対されるのも珍しいことではなかった・・・今では人口増や地域経済の好況など、市の進めてきたまちづくりの生花がハッキリ見える化し、効果がさらに加速するにつれ、明石の施策を評価する声が高まりました。わずか数年で、まちの状況は大きく変わりました。「子ども」に大きく予算を割り当てることが、明石では「あたりまえ」のこととして定着したのです
⇒ 焦点を明確にして、目に見える圧倒的な成果を出す。理解してもらえるまでやる。
第1章 子どもを核としたまちづくり
・明石では「すべての子ども」が対象です。貧困家庭だけではありません。すべての子どもを、誰ひとり見捨てないのです。ユニバーサルなところが最大の特徴です。行政はもちろん、責任の主体は社会全体であり、「まちのみんなで」すべての子どもを応援するというコンセプトです
・子どもを支援することは、持続可能なまちをつくることです。今、目の前にいる子どもだけでなく、やがて生まれてくる子どもたち、まちの未来へとつながっていきます。地域の健やかな発展につながる、まちに欠かすことのできない重要な政策です。子ども施策が、元気で暮らしやすいまちをつくります
・子どもはみんな、何らかの支援なくしては生きていけない存在です。家庭の中だけで完結させるのではなく、行政、地域、まちをあげて、子どもをしっかりと支えていく必要があります。「子どもが大事」と口では言いますが、日本社会はいまだに方向転換ができていません。すべての子どもたちに行政が責任を持つ、とまではいかず、家族に対して重すぎる責任を負わせ続けています
第2章 すべての子どもたちを、まちのみんなで
・子どもにとって、最後まで見捨てない誰かがいる、最後まで愛情を注ぐ人間がいるということは、大きな支えです。たとえ親が見捨てても、明石市だけは見捨てない。たとえ親が愛情を注がなくても、明石市だけは愛情を注ぎ続ける。その愛情が報われずに裏切られることになったとしても、注ぎ続けるというメッセージを伝えることは、きっとその子どもにとって意味があるだろうと本気でそう思っています
第4章 本のまち、明石
・まちの一等地に「子ども」と「本」を持ってきたことにより、まちがにぎわいを取り戻し、地域経済の活性化にも大きく寄与しています。好循環がはっきり表れている場所です。「子ども」と「本」を重点としたまちづくり、ここが大事なポイントなのです
・「子ども」や「本」には、財政に余裕ができたときに予算を充てるのではなく、むしろ財政が厳しいときにこそ、お金をかけるべきです。なぜなら、お金がない時代に苦しいのは、国よりも、自治体よりも、まずは市民だからです。お金がないときは、自ら行政に声をあげが難い、弱い立場の子どもに一番しわ寄せがいきがちです。そういうときだからこそ、行政は「子ども」を最優先に位置づけ、お金も人もエネルギーも使うべきなのです
・各家庭では1冊1500円の本を何冊も買いそろえてあげられないかもしれません。それなら、みんなでお金を集めて買えばいいのです。1冊を10人の子どもで読めば、一家庭150円で良い本が読めます。子どもにとって望ましい本を何十人、何百人にも読み継いでもらえる環境を整えることで、各家庭で読み聞かせと、親子の愛情の時間を持つことができるのです。お金がない今こそ、みんなの税金を預かっている「公」が本を買い、「公」が買った良い絵本や良書を、みんなに届ける。これこそ行政の大切な役割であり、公共図書館の重要な存在意義でもあります
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