2022年10月15日(土)11:00~13:30、小川町コワーキングロビーNESToで開催された「小川町で考える、サーキュラーエコノミーとまちの取り組み」に参加しました。

10月13日に訪問したセンティード株式会社の笠原社長からお誘いいただいたイベントです。
ときがわ社中の栗原さんとともに。

イベントは以下の2部構成でした。

【第1部】
安居昭博さんによる講演
・サーキュラーエコノミーとは?
・実践のための考え方
・オランダの実践と日本の実践 など

【第2部】
トークセッション
モデレーター 安居昭博さん
パネリスト 田下みえこさん(風の丘ファーム)
      尾島満矢さん(小川っ子保育園 園長)
      笠原和樹さん(センティード株式会社 代表取締役)
      小田穂さん(NPO法人霧里学校理事/一般社団法人The Organicプロデューサー)

私の理解の範囲ですが、まとメモを参加レポートとして公開しています。

第1部 安居昭博さん講演

サーキュラーエコノミーに関する本は以前読んだことがあったのですが、正直頭に入ってこず、当時は消化不良だった記憶があります。

ですが、安居さんのお話は非常にわかりやすく、具体的な実践例も多数ご紹介されていたのでサーキュラーエコノミーが身近に感じられるようになりました。

ときがわ社中で取り組んでいる「馬ふん堆肥」の活用にも活かせそうな期待感も大きいです。

以下、まとメモ。

まとメモ

●サーキュラーエコノミーとの出会い

・ホテルのレストランで働いていたとき、大量廃棄される食材を目にして「もったいない」と疑問
・NPOに参加して活動するも、補助金がないとやっていけない現実
・経済的な持続可能性との両立が必要
・オランダで「サーキュラーエコノミー」との運命的な出会い 

 ●サーキュラーエコノミーとは?

・よく「儲かるんですか?」という質問を受けることがある
・GDPは短期的な経済効果を図る指標だが、長期的・安定的な効果とはいいがたい
・短期的・爆発的な経済効果は上げられないが、長期的・安定的に経済的効果と両立できるのがサーキュラーエコノミーの特徴
・ヨーロッパだけでなく、最近日本でも注目されてきている

●サーキュラーエコノミーが注目されている理由

・かつてない社会変動(自然災害、コロナ、戦争、貧困・・・)
・地下資源の枯渇
・環境汚染
・世界人口の増加
・従来の経済モデル(リニアエコノミー)の限界
・新しい経済・社会の再構築の必要性が高まっている

●リユース/リデュース/リサイクル(3R)とサーキュラーエコノミーとの違い

・3Rはつくった製品は廃棄されることが前提にある。あくまで延命措置であり、リニアエコノミーの延長にある対処療法
・サーキュラーエコノミーでは、製品をつくる段階で最初から廃棄を出さないことを前提とする発想

●サーキュラーエコノミーの実践例(海外)

マッドジーンズ(オランダ)
・月額制でリース。捨てるメリットが何もない
・履けなくなったら返す → 繊維に戻して、再びジーンズをつくる
・最初から回収して、再製品化する前提でつくられる
・ポケットの革製のタグは、リサイクルを考える上では邪魔になる

月額制セカンドキャビン
・世界的に木造への注目が高まっている
・コンクリートから木造へ
・”分解できる建築”

インストック(オランダ)
・スーパー、飲食店で廃棄される食材を一流シェフが調理して提供するレストラン
・リーズナブルに提供可能
・発酵食ワークショップや食育プログラムも

トニーズ・チョコロンリー(オランダ)
・児童労働が関わらないチョコレート製品
・意識の高い特定層ではなく、子どものいる一般家庭層によって支持されている
・もっとも人気のあるチョコ
・デザインで世界に不平等が起こっていることを表現

●サーキュラーエコノミーの実践例(日本)

生ごみコンポスト(熊本、京都など)
・観光では悩みの種となる落ち葉も、農業では宝物になる
・観光事業者が集めた落ち葉を回収して完熟堆肥をつくり、それを使って野菜作り
・つくった野菜を旅館で使う
・感情的な理由だけで嫌々・義務的に使ってもらうのではなく、比較栽培でエビデンスをとり、コンポスト堆肥を使う方がメリットがあることを実証している

コンポスト堆肥でクラフトトマトジュース(熊本)
・ゴミの回収頻度を減らせる
・ゴミ焼却場の稼働頻度を減らせる → そのうち焼却場の数も減らせるかもしれない
・ゴミの回収やコンポスト利用で新しい人間関係ができる
・学校給食のオーガニック化の動きも

京都エシカル・フードロス・アライアンス(京都)
・レモネードをつくるときに出るレモンの皮を食材として利用
・個々の事業者ではお金を払って廃棄していたものを、シェアすることによって有用な食材としての活用が可能となった
・最初は手探りの状態から、一般の方も混じってどんな仕組みがあったからいいかを考えることからスタートした取り組み

廃棄資源でシュトーレン(京都)
・安居さんの実践例
・酒粕、梅、おから、和菓子の切れ端をシュトーレンに
・コロナでお土産が売れず、仕事が減ってしまった福祉作業所との連携
・シュトーレンの良さ、日持ちがするため、明日までに●個つくるではなく、数週間後までに●個つくればいいという余裕を持ったスケジュールを組める

●サーキュラーエコノミーの実践ポイント

・回収、リペアしやすい仕組みをつくる
・混ぜると回収や再利用が不可能な材料もある。特にプラスチック。なるべく単一素材での製造が望ましい
・なるべく自然由来のもの
・生産地と消費地を近づける。近い=回収しやすい、コストがかからない
・商品開発をするときには、製造事業者だけでなく、再利用の専門事業者と連携して開発する

安居さんへの質問

講演終了後、個別に安居さんに質問させていただきました。

Q 廃棄物を食材で利用しようとした場合、ある程度のロットがないと手間やコストがかかってしまうと思うのですが、人口1万人くらいの小さな地域で実践するためのポイントは?

(安居さん)あまりロットは関係ないですね。京都の事例のレモンの皮も、1日数百グラム程度。でも使う量も少ないから問題ない。
 どちらかというと重要なのは距離。往復で何時間もかかるようだと負担になる。時間も交通費も運搬費も。これが徒歩5分であれば毎日でも取りに行けるし、何かのついでに誰かに頼むこともできる。

なるほど!
近い距離だったらそんなに負担はないですね。

とにかく続けられる仕組みが重要なんですね。

それであればむしろ小さい地域の方が実践しやすいといるかもしれませんね。

安居さん、ありがとうございました!

(続く)

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