「一般社団法人ときがわ社中」の良いお手本に

私は仲間とともに、つい先日(2021年3月31日)「一般社団法人ときがわ社中」を設立しました。

一般社団法人ときがわ社中は、ときがわ町およびその周辺地域を主な活動フィールドとする地域商社として位置づけています。

本書に登場する「株式会社SMO南小国」はDMO(観光地域づくり法人)であり、観光地域づくりを目標としているという点においてはときがわ社中と微妙に異なりますが、物産館の運営やふるさと納税事業などの地域商社としての機能は非常に学ぶべき点が多くありました。

最も強く印象に残ったのは、SMO南小国の活動によって、「観光で稼ぐ町」から「町全体で稼ぐ町」に生まれ変わったという部分です。

観光はどちらかというと特定のコンテンツや事業者だけに頼りがちになりますが、町全体で稼ぐというのは町を一つの会社のようにとらえて経営するという視点が大きく異なる点かと思います。

町の中で資源を調達したり、事業者間がコラボすることで、外へのお金の流出を少なくしつつ価値を高めていくという発想が欠かせません。
何より他人任せにせずに社員(町にいるプレーヤー)一人一人の努力が求められます。

このような調整機能をSMO南小国が果たしたということに興味を惹かれました。

特にときがわ社中では、地域内だけではなく地域外の企業も含めた官民連携の中間支援機能も担っていきたいと考えていますので、SMO南小国がたどった道筋は良きお手本になるのではないかと思いました。

また、「稼ぐエンジン」をつくるための「事業開発」の視点は私も大事にしている部分です。
手段にこだわるのではなく、「何のために」を常に意識しながら、最善のパートナーと最善策を創り出していく過程には、なんといっても事業をやる上で一番おもしろみを感じます。

稼ぐことやパートナーとのWIN-WINの関係を築くことももちろん重要なのですが、その中でもよりおもしろい状態につながるワクワクした気持ちが生まれることも、その次の事業を生み出すための種(人とのつながり、モチベーション)として重視していきたいですね!

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以下は本書で気になった箇所を抜き出したまとメモです。

(「⇒」は私の個人的メモ)

まとメモ

・「観光で稼ぐ町」から「町全体で稼ぐ町」に生まれ変わった

・DMOとは、観光地域づくり法人(Destinataion Management/Marketing Organization)

・問題解決のカギとなるのは「事業開発」の視点

・会社を経営するように、まちを経営するのです。町として、きちんとお金を稼ぐのです

第1章 黒川温泉のある町、南小国

・南小国町の3つの課題
 ①止まらない人口減少
 ②「著名な温泉郷」の町
 ③28年赤字続きの物産館

・DMOの定義
 地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛情を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに。戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人(観光庁)

・大切なのは組織の有無ではなく、「事業開発」の視点

・ビジネスを伸ばしてお金を稼ぐためには、「稼ぐエンジン」(ビジネスモデル)が不可欠
 → 稼ぐエンジンとしての地域商社機能

第2章 「あるべき姿」づくりでゴールを設定する

・「こうあるべきだ」「こうなりたい」というゴールが見えてはじめて、底に向かうために解決すべき課題、解決方法を考える準備ができます。「あるべき姿」と現実の姿にはギャップがある。そのギャップを埋めるのにDMOが必要かどうか、考えてみる

・観光資源として魅力のあるものかどうかを見きわめる2つのポイント
 ①地域の伝統体な産業や文化に関連しているか
 ②その地域資源に関係する魅力的な人がいるか

・観光地地域づくりの3ステップ
 ①みつける
 ②みがく
 ③つなぐ

第3章 SMO南小国によって町を機能させる

・既存組織の機能をうまく活用しようとするときにやってはいけないのは、既存の組織の「名前だけ」をDMOに変えること

・株式会社SMO南小国の3本の矢
 ①事業の選択と集中
 ②事業の安定化
 ③南小国町キラーコンテンツの売出し

第4章 町長も驚いた、南小国町の”奇跡”

・SMO南小国立ち上げ当初に聞こえてきた不平不満も、きよらカァサのV字回復という圧倒的な結果の前に、いつしか消えていました

 ⇒ まず実績を出し、それを見えるようにことが大事

・観光地域づくりにおいて、町は不得意なところに関しては「よそ者」の力を借りました

・未来づくり事業に携わる醍醐味は、自分の想像していた以上におもしろいものができ上がっていくこと。自分ひとりでできることには限界があるけれども、人と人がつながると、思いもよらないすごい価値が生まれます

・(人出が足りないためプロモーションを外注していたことに関して)町の外にお金が出ていくし、プロモーションのノウハウも町には蓄積されない

・SMO南小国ができたことによるいちばん大きな変化は、「夢をみることができるようになったこと」

第5章 南小国町は、これからどこをめざすのか

・今後、南小国町が持続可能な発展を続けていきたいのなら、自分たちの町のことだけを考えていては遅かれ早かれ限界がくるでしょう。同じ阿蘇エリアにある地域で連携して、ノウハウを提供し合う。足りないものは共有する。そうして限りある資源を有効活用できれば、地域経済はより広範囲で豊かになっていくはず

第6章 なぜ、南小国町はうまくいっているか

・南小国町がうまくいった理由
 ①事業開発視点を持ち込み、稼ぐためのエンジンをしっかりと入れたこと
  → ビジネスの目線を持てば、地域には人もお金も集まり、もっと個性を発揮することができる。地域の魅力に共感した人たちと関係を結ぶことができ、その人たちが町の課題解決の力となってくれるかもしれない

 ②挑戦を後押しする気質
  → 挑戦する人を後押しする補助金の豊富さ

・挑戦する個人、団体は、周りにもいい影響をあたえてくれる「種火」にょうなもの。この「種火」をどれだけたくさんつくれるか。それが町長としての私のミッションです(高橋町長)

・挑戦している人は志も高いし、自律的でエネルギーがあります。一方、熱量の低い、やる気のない人に火をつけるのはエネルギーがいりますし、時間がかかります。南小国町では、自ら挑戦しようとする人をもっと増やしていきたい。そうすればさらにおもしろい、楽しい町になっていくのではないでしょうか(高橋町長)