こんにちは!
まなびしごとLABの風間です。

2024年12月7日(土)、毛呂山町立歴史民俗資料館で地域に伝わる自家製醤油、通称「吉野川醤油」搾り体験を行いました。

きっかけは先月、当資料館にお邪魔した際に学芸員のTさんと醤油づくりサークル会長のYさんから、吉野川醤油についてお聞きし、実際に仕込みの様子を見せていただいたことでした。

・土着の自家製醤油「吉野川醬油」との衝撃の出会い! 毛呂山町フィールドワークレポート(2024年11月10日) – まなびしごとLAB

このときに今回の醤油搾り体験のことも伺い、ぜひ!ということで参加させていただきました。

「吉野川醤油」とは?

まずは「吉野川醤油」についてTさんから改めて説明がありました。

・毛呂山町出身の吉野川周作さんが、野田醤油(現キッコーマン株式会社)で製法を学び、大正8年ころに毛呂醤油醸造研究所を設立し、自家製醤油の醸造を始めたのがはじまり。
・知人や近隣に積極的に製法を伝えた結果、おいしい醤油が安くつくれると評判となり、醤油づくりの技師と各家庭が協働でつくる自家製の醤油は「吉野川醤油」と呼ばれた。
・その後、埼玉県農務課の講師も務め、多くの醤油づくり技師の育成に努めた結果、自家製の醤油醸造が県内に広まった。
・醤油を仕込む樽と大豆などの材料は各家庭(または複数軒のグループ)で用意し、醤油技師が指導しながら仕込む。現在でいうケータリングのようなスタイル。
・ちなみに、埼玉県でうどんがこれだけ食べられるようになったのは、この吉野川醤油があったおかげだと吉野川周作さんは語っていたそう。

この近くにも、坂戸市の弓削田醤油さんや川島町の笛木醤油さんがあるので、一概に吉野川醤油があったからというだけではないとは思いますが、醤油はかつては高価な調味料だったということで、少なからず影響はあったのかもしれないなと思いました。

このような醤油づくりがこのあたりを拠点に広まったというのは、これまで知らなかったので非常に新鮮でした。
手に入りづらいようなものでも、なんでも自分たちでなんとかしようとしたり、協力し合っていたのですね。

こうした地域の歴史や文化を学ぶということは、今の私たちにとっても大切なことを思いださせてくれるのだと改めて思いました。

醤油搾りスタート!

いよいよ醤油搾りに入ります。

発酵が進み、熟成したもろみを布袋に入れて、圧搾機に重ねていきます。

布袋を重ねていくときにも、ただなんとなくではなく、圧力が均等にかかるように平らにならしていきます。

醤油づくりサークルの皆さんと体験参加者での協働作業。
作業をしていると自然とサークルの皆さんや参加者同士でのコミュニケーションが生まれて楽しいです。

作業を進めている中でも醤油のいい香りが漂ってきてお腹がすきました笑

サークル会員の方が用意してくれた軽食をいただきながら、交代で作業を行いました。

こういうときに活躍するのが子どもたち。

なかなかない体験だからか、おもしろがって率先して作業を引き受けてくれました。

圧をかけると赤茶色い液体が流れてきました。

さわやかな香りがします。

ちょっと舐めてみると、当然ながらしょっぱいのですが、香りがふわーと広がって後味スッキリ。
刺身がおすすめだそうです。

そのままご飯にかけて食べてもうまそうですね!

火入れ

搾った醤油は大釜に移して火入れを行います。

沸騰後、3~4時間かけて火入れするそうです。
唯一の殺菌工程なため、しっかりと煮沸するという意味と、麹菌による発酵を止めることが目的。

火入れした後の醤油は12/10以降の引き渡しとなるんだとか。

完成が楽しみです!

二番絞り

醤油を搾ってそれで終わりではありません。

いったん搾り終わったカスもまだまだ利用します。

布袋から搾りカスを取り出し、熱湯で溶き、再びドロドロのもろみ状に戻していきます。
それをもう一度搾って醤油をつくるのです。

最初に絞った醤油は一番搾り、次に絞った醤油を二番搾りというのだそうです。
なんだかビールみたいですが笑。

職人さんがつくるときは、さらに三番絞りまで行っていたといいます。

そして最後に残った絞りカスは家畜のエサに回します。
もともと地域にはサーキュラーエコノミーがあったんですね。

いい経験をさせていただきました。

毛呂山町立歴史民俗資料館の皆さん、醤油づくりサークルの皆さん、ありがとうございました!

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