(アイキャッチ画像の出典はRESASトップページ)
そもそも“RESAS”ってなに?
突然ですが、“RESAS”という言葉を見たり、聞いたりしたことはあるでしょうか?
官公庁や各地域の商工会議所・商工会、金融機関、シンクタンクなどにお勤めの方であれば聞いたことがある方も多いのではないかと思います。
“RESAS”とは、Regional Economy Society Analyzing Systemの略で、地域経済分析システムのことをいいます。
2015年4月に公開されたシステムで、経済産省の下で開発され、現在は、内閣府地方創生推進室で運用を行っているようです。
RESAS公式サイト:https://resas.go.jp/#/13/13101
※使用するブラウザは、Google Chromeがおすすめです。
実はこのシステム、かなり使える子なんです!
RESASの何がそんなにすごいかというと、次の5点が大きなメリットとして挙げられると思います。
・数字の羅列でしかない統計データを、グラフや図で可視化できる
・各省庁独自の統計データを横断的に把握できる
・複数の都道府県・市区町村との比較が容易
・上記の作業が効率化されることで、施策の検討に時間とマンパワーを集中できる
・誰でも無料で利用できる(ユーザーによって利用が制限される限定メニューあり)
こんな良いツールではあるものの、公開から5年が経ちますが、一部の業界を除いてそれほど広まっていないように思えます。
こんなに便利で画期的なサービスを眠らせてはなりませぬ!
(あまり眠ったままだとそのままお蔵入りなんてこともありますので・・・)
そこで、元越谷市役所職員の私が、産業支援課でのRESAS活用経験と、ほぼ趣味の地域分析の経験を活かして、RESASの使い方をご紹介したいと思います。
とはいえ、RESASに格納されているデータは膨大ですので、初回はまず入門の入門ということで、以下の3点についてご説明します。
①どうやって使うの?
②どんなデータが見られるの?
③どんなことができるの?
地方創生やまちづくりは、現状・課題の把握や強みの発見からはじまるといっても過言ではありません。
RESASの使い方をマスターできれば、きっとあなたのまちの課題や強みを見つけることができるはずです!
どうやって使うの?
まずRESASへのアクセスの仕方です。
RESASのURLはこちらです。
RESAS公式サイト:https://resas.go.jp/#/13/13101
これに関しては、特に難しいことはなく、そのままURLをクリックしていただければいいだけなのですが、1点だけ注意が必要です。
それは、RESASにアクセスするブラウザには、Google Chromeを使用するということ。
Internet Explorerでも動かいないことはないのですが、Google Chromeが推奨されているようです。
私の経験上も、Google Chromeが一番安定していると感じます。
扱うデータが多く、グラフや図のヴィジュアルのデータが大きいためか、かなり端末に負荷がかかるせいかもしれませんね。
使う際は、RESASのURLをコピペしていただくか、検索バーに「RESAS」と打ち込んでいただいてもOKです。
どんなデータが見られるの?
まずはRESASにどんなデータが格納されているのかを見てみましょう。
2020年6月9日現在で、81個のメニューがあります。
(なかには、自治体だけが使用できる※のついた限定メニューもありますので、誰もがすべてのメニューを利用できるわけではありません)
一つのメニューに対して、一つの統計データというわけではなく、なかには複数の統計データを組み合わせからなるものもありますので、格納されているデータは81個以上ということですね(スゴイ!)。
一つ一つのメニューの説明をここでするのは大変ですので、よく使う5つの大項目をざっとご紹介します。
詳細については、今後、実際に地域経済分析を行っていくなかで、おいおいご説明することにしたいと思います。
1.人口マップ
・指定した地域の人口の過去の推移や将来の推計
・男女別、年齢層別
・自然増減、社会増減(移動先、移動)
・人口の分布
たとえば、「人口マップ」の「人口構成」から、埼玉県比企郡ときがわ町の「人口推移」のグラフを表示するとこのようになります。
2.地域経済循環マップ
・地域経済循環率
・地域内外の「生産」「分配」「支出」のお金の流れ
・地域内収支
たとえば、同じくときがわ町の地域経済循環図を表示させると次のようになります。
3.産業構造マップ
・指定地域の産業別(大分類・中分類)のデータ
・全産業、製造業、小売・卸売業、農林水産業
・業種ごとの企業数、従業者数、売上高、付加価値額やその割合
・業種ごとの付加価値額、労働生産性、従業者数から見た稼ぐ力(特化係数)
5.観光マップ
・国内、海外
・(国内)目的地、月別、平日・休日、交通手段別
・(海外)国・地域別、訪問・滞在、月別、時間帯別
6.まちづくりマップ
・滞在人口
・通勤通学人口
・流動人口分布
どんなことができるの?
では、RESASのこれらのデータを使って、どんなことができるのでしょうか?
その答えは・・・「いろいろなことができちゃいます」です(笑)
「いやいやいや、それじゃ答えになっていないじゃないか!」とのお怒りの声もごもっともです。
ちょっと補足説明させてください。
私がいいたいのは、RESASはあくまでツールに過ぎないということです。
これを使って、地域にどんな課題があるのか、どんな施策をつくるのかを考えるのはあなた、もしくはあなたが所属している組織の役目なのです。
データはデータでしかありません。
たとえば・・・
人口の推移や推計、分布を見て、子育て世代の誘導のために生活利便施設や保育所、商業施設を誘致するもよし。
地域経済循環図や産業構造を見て、地域の軸となる産業、強みとなる産業を見つけ、地域外からお金を稼ぐ仕組みを考えるもよし。
観光マップを見て、新たな観光資源の存在に気づき、属性を絞ったマーケティングを展開するもよし。
まちづくりマップを見て、公共交通の効率化を図るもよし。
・・・
目の前の仕事に忙しいと、つい現状や課題を把握することを怠ったり、いきあたりばったりで施策を考えてしまうということが起こります。
しかし、正確に現状や課題を把握することができなければ、適切な施策を打つことができず、適切な施策を打てなければ正しい成果も得ることができません。
良い施策は、正しい現状分析と課題の把握から始まるといっても言い過ぎではないでしょう。
そこで、RESASを使うことによって、地域の現状や課題を正確に把握するヒントを効率的に入手することができます。
そして効率化してできた時間やマンパワーを、「考える」というクリエイティブなことに集中することができるのです。
ぜひこのお得なシステムを最大限に活用していただければと思います!!
(注:私は内閣府の回し者でもなんでもありません。趣味がまちづくりのただの個人事業主です)