まなびしごとLABの風間です。
こんにちは!

今回、ご紹介する本は、西本則子さんの『商店街×コミュニケーション』という本です。

商店街を利用したことのない人にどのように商店街に入ってきてもらうかという問題に女性のキャリア形成をかけ合わせた親子で街デビューというプロジェクトはおもしろかったです。

一方で、空き店舗が増えた商店街をどうするかという課題はそれだけでは解決が難しいように思えます。
私が関わっている北坂戸団地商店街がまさに直面している課題ので、そのことについても考える必要があると思いました。

本書を読んで気になった個所を以下、まとメモとして書き出していきます。

まとメモ

第1章

・商店街応援団わだっちが2010年から杉並区和田商店街で取り組む「親子で街デビュープロジェクト」は、子育て世代と商店街の交流を通じた消費者参加型の新しい商店街活性化を目指している

・出産を機に生活スタイルががらりと変わり、初めて自分が暮らす街に目が向いたという女性たちにとって、プロジェクトでの活動は地域に仲間を増やし、仕事以外の場で自らの新たな可能性を試す機会にもなっている

・育休を終えて職場に戻ったメンバーはいったん卒業してイベント開催時などにOGとして関わり、新たに育休を迎えた人が新メンバーとして参加するスタイルをとっているため、和田商店街を応援する若い世代は年々増える仕掛けとなっている

・変化には当事者の「変わりたい」という意欲と意志が必要で、強要することはできない。持続的な変化を生むためには、強いリーダーシップに期待するより、プロジェクトにかかわる一人一人が「変わりたい」「変えたい」と感じるように意識改革を促す流れをつくりださなければならない

・商店街の盛衰は私たちの生活と直結している。どこで何を買うという消費者の選択は、めぐりめぐって未来の社会のあり方を選ぶ投票行動の意味をもつともいえる

・個人商店には店の数だけ消費やサービス、経験の豊かさが蓄積されているからだ。個人商店が持つ専門性や一人一人の顧客へのきめの細かい対応は地域に根付いた財産だ。それらと子育て世代がうまく出会い、新たな顧客として育てば、商店街は魅力的な商品やサービスがどんどん生まれる場所に変わるはずだ。そもそも商店街には販売だけでなく製造や開発の機能もある

・スーパーやコンビニ、ネットでの買い物に慣れた若い世代にとって、話さなければ始まらない個人商店の買い物はハードルが高い。小さなころから家族以外の見知らぬ人と会話した経験が乏しいからだ

・この小さなチャレンジは母親たちのキャリア形成にも役立つ。・・・出産・子育てのハードルに出くわした彼女たちには「今いる会社以外のキャリア」を模索したいというニーズがあるのだ。育休中の限られた時間の中で商店街に出会い、商店街を応援しながら新たな経験にチャレンジする機会があれば、彼女たちの人生の選択肢を増やすことにもつながる

・かつての反映のロジックが通用しなくなった今だからこそ「自分たちには未来を拓く力がある」ことを思い出してほしい。スーパースターの登場を待つのではない。小さな試みを繰り返すことで意欲と意志が芽生え、人の心が変わることで街にリアルな変化が起きる

・日本全体を見れば人口減少とともに市場は縮小していく。しかし、マンションが立ち並ぶ和田商店街の商圏には4万人弱が住んでいる。「この街は高齢者の街だ」と店主はいうが、人口のボリュームゾーンは30代40代の子育て世代が占めているのだ

⇒ 北坂戸団地商店街はどうか?

・職場や家庭では考え方や行動が期待される役割に影響される。親子が商店街を応援する場では、一人一人が主体的に、したいことをするのを許し合うことを心がけた。いつもの役割を外れ、自分の間隔に戻って新しい動きを試みると、それが発見や喜びにつながる

⇒ 高校の探究学習でも同じ

第2章 商店街の応援から住みたいまちづくりへ

・個人商店の面白さは、店主の力量やアイデア次第で新しい試みにすぐチャレンジできることだ。自分たちで考え、自分たちの責任で動くからこそ、それが可能になる。大手ではそうはいかない

第3章 商店会と応援団の本音インタビュー

第4章 商品マーケッター、型破りな商店街アドバイザーになる

・「商店街とマーケティングのマッチング」には大きな可能性を感じた。企業でさえも消費者志向に舵を切っている今、買い物という同じ場で並び立つ個人商店こそ消費者志向が必要だ。おなじみの常連客だけでなく新たな消費者を迎えるために、彼ら彼女らを知り、その期待する価値を提供することは言うほど簡単ではない

・大企業には真似できないきめ細かさや意思決定のスピード、人とのふれあいやユニークさが個人商店にはある。店の利益と期待される社会的役割のバランスを取りながら消費者志向の商いをする商店街が生まれれば、お客さんとともに実現できることはたくさんありそうだと感じた。それぞれの街の個性を大事にしながら、個人の利益と社会の利益のちょうどよいバランスを実現できたらおもしろい!

・事業者がイメージする商店街と、住民がイメージする商店街。そのギャップの分だけ新しいことが生まれそう

・住みたい街をつくるために必要なのは、お金やお金になりそうな経験や高度なスキルよりも、お互いを知り「助け合えるつながり」を生み出すことだと思っている。まず人と人との信頼関係を土台として、信頼に基づいた協働により価値を創造する。自分たちでつくる喜びが循環し、その結果としてお金が生まれる。遊び楽しむ感覚と、一人一人を大切にする価値観こそが地域に必要

・マーケティングとは、商品やサービスを通じて顧客が求める価値を提供し「新しい市場をつくる」ことだ。このプロジェクトに置き換えれば、商店街という地域の市場に新しい顧客を呼び込んで、商店街の有形無形の便益を生み出し、持続的な成長をもたらす

・これまでの商店街・中心市街地政策は、商業機能を回復し高めるための政策が中心だった。商店街の売上増加を通じた経済活性化を重視した結果、商店街における商業機能の向上に支援が集中した。だが、商店街に対する地域のニーズが「買い物の場」から「多世代がともに暮らし、働く場」への変化しつつある今、地域や住民のニーズを意識した政策アプローチが必ずしも十分でなかった可能性も指摘されている

第5章 親子で街デビュープロジェクトが達成したこと

・商店街を利用したことのない住民が店を訪れるときのハードルを一つ一つ取り除く工夫は地味だ。だが、イベントはゴールではなく、それをきっかけに商店街になじむ人がどれだけ増えるかだ

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