ときがわ町でも動き出した「GIGAスクール構想」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各分野で

「学びをとめるな」

が合言葉のように聞かれるようになりました。

新型コロナが猛威を振るう中、一番影響を受けたのは小中学校をはじめとする学校です。

私が日頃お世話になっている埼玉県比企郡ときがわ町の小中学校でも、休校中に児童・生徒や保護者とのコミュニケーションがとれないという悩みを抱えてました。
授業にしても、ときがわ町ではまだオンラインによる学習方法が確立されておらず、ICTを活用した授業も進んでいないという現状です。
そして、そうした状況は全国の多くの小中学校でも同じでした。

幸い緊急事態宣言は解除されて、学校が再開されましたが、いつまた感染が拡大して(既に感染拡大の傾向が見られていますが・・・)一斉休校という事態になるかわからない状況下で、このままではいけないという危機感から、国においてはGIGAスクール構想の前倒しが決まりました。

GIGAスクール構想とは、もちろんそれだけではないのですが、ハード的な部分だけでいうと、全国の小中学校の児童・生徒1人につき1台のPCまたはタブレットを配置するというものです。
もともとは令和5年度までにそれを実現するという計画だったそうですが、新型コロナの影響を受けて、多くの小中学校では令和2年度中にそれを実現するという動きになっています。

これで状況は改善するかと思いきや、そこで困ったのは実は教育現場です。
もちろん、既にある程度ICTを活用した授業を実施しているような学校もありますが、ときがわ町の小中学校では一部の授業でパソコンまたはタブレットを使用しているといった程度。
ましてやオンラインでの授業なんて寝耳に水、状態でした。

このままでは1人1台のPC・タブレットが設置されたところで、結局は、今と同じ状況が続きかねません。
それでは宝の持ち腐れ、絵に描いた餅です。

というところで、ときがわ町の渡邊町長から起業家仲間の栗原さんとともにお声かけいただき、久米教育長や各校の校長先生などとの意見交換を通じて、町内5つの小中学校の教員を対象としたICT研修を実施することとなったのでした。

いつまた一斉休校という事態に陥るかわからないということで、いざというときの子どもや家庭とのコミュニケーションの手段を手に入れるということが最優先課題。
そこで、今年度はまずZoomの操作を実施することになりました。

各校の環境もそれぞれ違いますし、先生たちも違います。
現場の先生方とコミュニケーションをとりながら、少しでも前に進むお手伝いをしていきたいと思います。

また、もちろん課題は学校だけではありません。
ときがわ町では、町内全域に光ファイバー通信網が整備されているものの、家庭における通信環境がすべて整備されているわけではありません。
また、家庭では、児童・生徒が自分で自由に使えるスマホ、PC、タブレットなどの端末を保有しているわけでもないかと思います。

それでも、いざというときに備えて、まずできることから始めていく。
それが重要ではないかという考えは、渡邊町長、久米教育長、教育委員会担当者、各学校の校長はじめ関係者の皆さまと私たちの共通認識でした。

状況は日々変わり続けていますので、関係者の皆さまと意見交換を繰り返しながら、何より子どもたちがいろんな選択肢をもってより良き学びができるようになることを目指して、これからお手伝いしていきたいと思います!

こうした私たちの地域での取り組みを、ドキュメンテーションを通じて、ときがわ町、そして比企地域に広げ、全国に発信していきます。

大切にしたいこと

地域の教育に関わっていくうえで、私たちが大切にしたいと考えていることは以下のとおりです。

①最も考えなければならない相手は「子ども」
 ビジネス上の顧客という意味では、学校であり、教育委員会かもしれません。
 ただ、教育を受けるのは子どもであることを忘れてはいけません。
 その前提に立ちつつ、子どもにとって、先生にとって、学校にとって、保護者にとって、地域にとっても、良いと思える「全方よし」を目指します。

②ICTはあくまでツール
 ICT活用は決して目的であってはならない。
 たとえば、すべてをデジタルに置き換えることは、確かに時間や紙などの資源を削減することには有効かもしれないが、それで人と人との関係や人と地域との関係が薄れてしまってはナンセンス。
 ICTを活用することで、より良い教育環境を整えることが目的であって、アナログとデジタルを組み合わせることによる個別最適化、学校最適化、地域最適化を目指す

③身近な継続的な関係を築く
 私たちはITやICTの専門家ではありません。
 分からないことも多いかもしれません。
 ただ、地域の身近な相談相手として、一緒に最善策を考えていくことはできます。

④ときがわ社中
 私たちは教育の専門家でもありません。
 地域には教育に限らず、多くの課題があります。
 そうした課題を、地域の人たちと一緒に考え、解決していくパートナーでありたいと考えています。
 ゆくゆくはこうした活動をする仲間を増やし、ビジネスで地域を良くしていく「ときがわ社中」を目指します。