2023年1月16日(月)、筑波大学附属坂戸高校にて、ときがわ町の伝統工芸士である手漉き和紙たにのの谷野裕子さんをお招きして、「馬ふん和紙」研究チームの特別ゼミを行いました。
こちらのチームは、農業研究の授業で行っているときがわホースケアガーデンの馬ふん堆肥の活用に関する研究の傍らで、副テーマとして「馬ふん堆肥そのものを使った和紙がつくれないか」ということに取り組んでいます。
担当のU先生から、「馬ふん堆肥を使って和紙をつくろうとしたが、思うようなものができずに困っている」とのご相談をいただいたため、プロの和紙職人である谷野さんにご支援をお願いすることにしました。
「馬ふん和紙」研究チームからプレゼン
まずは研究チームでどんなことに取り組んでいるのかについて、簡単に説明してもらいます。
・農業研究の授業での主テーマは、馬ふん堆肥で農作物(カブ)を育てること。それとは別に馬ふん堆肥そのものを使ったプロダクトができないか
・ゾウのフンを使った紙「ぞうさんペーパー」がつくられている。同じ草食動物なので、馬ふんでも和紙ができるのでは
・馬ふん和紙を「高校生ブランド」「ときがわブランド」として、いろんな用途で使うことで、新たな地域の資源とし、その売り上げを馬の食費にあてるこもできる
・循環型社会の創造に寄与できるのではないか
すごく魅力的な取り組みです!
次に、馬ふん和紙をつくるにあたって相談したいことは以下のようなものでした。
・次亜塩素酸を使ったが、うまく漂白されず、褐色の紙になってしまった
・つなぎで使う洗濯ノリの分量がわからず、うまく型からはがれなかったり、厚くなってしまったりした
高校生の皆さんがつくった紙を見せてもらいました。
確かに褐色で分厚く、そのままでは何か文字を書くのに使うのは難しそうです。
谷野さんとの意見交換
研究チームの発表を受け、谷野さんから助言がありました。
なんと谷野さんも、実際にときがわホースケアガーデンの馬ふん堆肥を使って、実際に和紙をつくってみたそうです。
1/15(日)に、3年に1回の流鏑馬がときがわ町で行われたため、見学者への配布用にちょっとした小物をつくったんだそうです。
・馬が食べたものの特徴がフンで分かる。馬ふんに含まれる繊維質(草やにんじんなど)の特徴がわかるようにするとおもしろいと思い、それを生かすように工夫した
・色を白くしたいなら水で十分
・漂白には次亜塩素酸は使わない方がよい。あくまで殺菌のために使う。次亜塩素酸に長く漬けると、繊維がボロボロになってしまい、たとえ白くなっても弱い紙になってしまう
・馬ふんに含まれる繊維は短いため、長い繊維のものを加えた
やっぱりプロの方の視点は違います。
できあがりの紙を白くするには水で十分という助言に、高校生の皆さんは驚いたようでした。
紙の色や厚さなどは、できた和紙をどのように使うか、それで何をつくるかによって変わってくると思います。
個人的には、高校生の皆さんがつくったような褐色の和紙も、用途によってはおもしろいのではないかと感じました。
また、谷野さんから、この先の発展可能性について新たなご提案も2ついただきました。
どちらも非常に魅力的なご提案ですね!
研究チームの皆さんには非常に刺激になったようで、2月頃に実際に和紙づくりの工程を見せてもらおうという発案もありました。
また研究チーム5人のうち1人は、3年次の卒業研究のテーマとして継続して取り組みたいとも考えているそうです。
今年度の研究は2月で一区切りとなりますが、また次の発展もありそうで楽しみです!
谷野さん、筑波大学附属坂戸高校のU先生、生徒の皆さん、ありがとうございました!
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