馬ふん堆肥活用に向けた研究発表(水曜日班4グループ)

2022年10月12日(金)9:15~10:30、筑波大学附属坂戸高校にお邪魔して、選択科目「農業研究」での馬ふん堆肥活用プロジェクトの研究計画発表を聴いてきました。
前回(10月7日)の金曜日班に続き、この日は水曜日班4グループの発表です。

4グループからはそれぞれ、

  • 馬ふん堆肥が根菜に与える影響
  • ときがわの可能性 ~馬ふん堆肥の葉菜類への影響とオリジナル性の発見に向けて~
  • 馬ふん堆肥中の雑草趣旨と菌類の有無
  • 馬ふん堆肥を用いた土壌生物の適正量

という4つのテーマについて発表がありました。

各グループで発表前の最終準備をしている間、どうやってグループ分けをしたのかをS先生に聞いてみました。

いくつかの大まかなテーマを提示して、個人ごとに希望するテーマを選んでもらったのだそう。

グループ分けをしようとすると、学校現場ではつい人数を均等に分けてしまいがちですが、それをしないというのはおもしろいなと思いました。

たまたまそうなったのならいいのですが、意図的に人数を均等に分けようとすると、希望にそぐわないグループに入らされてしまうおそれがあります。
そうすると関心が薄れて主体的に研究に取り組むことができなくなるということもあるのではないかと思います。

もちろんやっているうちに好きになる・興味を持つという側面もあるかと思います。
ただ自分で選べるのであれば、あえて最初から関心のない分野に行く必要はありませんよね。

ちょっとしたことではありますが、こうしたところにも生徒の自主性を容認する姿勢が感じられました。

発表1 馬ふん堆肥が根菜に与える影響

発表は1グループにつき、10分の持ち時間で行われました。

最初の発表は「馬ふん堆肥が根菜に与える影響」です。

4つの肥料、3つの作目(大根、ビーツ、カブ)5品種を比較栽培しようという意欲的な研究計画です。

馬ふん堆肥は匂いが少ないため、周辺環境への悪影響を抑えられるという特徴があります。
その上で根菜類を育てる堆肥としての適性がわかると農業に使いやすいのではないかということが意義として挙げられました。

おもしろかったのは、馬ふん堆肥にはアントシアニンが含まれているということ。
これは初めて知りました。
この性質が土壌にどのような影響を与えるか、作物にどのような影響を与えるかを突き止めたいという内容でした。

非常に楽しみな研究ですね!

聞いていた生徒さんたちからも、「畑だと隣の圃場で使っている異なる堆肥の影響を受けるのではないか?」という質問も出ていました。

自分たちの発表だけでなく、他のグループの発表をしっかり聴いていないと質問はなかなかできません。
皆さん、集中して聴いているようでした。

発表2 ときがわの可能性 ~馬ふん堆肥の葉菜類への影響とオリジナル性の発見に向けて~

2グループ目の発表は「ときがわの可能性 ~馬ふん堆肥の葉菜類への影響とオリジナル性の発見に向けて~」というテーマ。

馬ふん堆肥はあくまできっかけで、その先に「ときがわの可能性」があるという大きなテーマが打ち出されていたことに魅力を感じました。

化学肥料を使った場合との比較や、できた作物と市販の同じ作物との比較をするというものです。
品種は「ななみ」という小松菜を使用するそうです。

キーワードは「独自性」。

仮説として、知人で天然由来の堆肥をつかって臭みのないニンニクをつくっている方がいるそうで、出汁の味がよく染みるようなクセのない小松菜をつくりたいそうです。

独自性というワードには非常に惹かれますので、こちらも楽しみですね!

発表3 馬ふん堆肥中の雑草趣旨と菌類の有無

3グループ目の発表は「馬ふん堆肥中の雑草趣旨と菌類の有無」というテーマ。

目的はシンプルで、堆肥の農業上の実用性を明らかにすることが挙げられました。

雑草については、雑草の種子が含まれない川砂を用いた比較栽培の実験など、非常によく考えられているなあと思いました。

キノコは、他の動物のフンに含まれる繊維や菌の発生環境に関する先行研究から、発生するキノコ類を想定していました。
知人のキノコ見分け名人の知恵をお借りするそうです。

雑草の種子があっても発芽しなければ農業で使いやすいですし、キノコの生育環境として優れていれば食用のキノコ栽培に使える可能性が高いということもいえそうです。

非常に意義の大きい研究になりそうです!

発表4 馬ふん堆肥を用いた土壌生物の適正量

4グループ目は「馬ふん堆肥を用いた土壌生物の適正量」というテーマ。

4つの肥料との比較栽培で、土中の微生物への影響を調べ、植物の生育環境を整えるための適正量を探ることを目的として設定していました。

植物の理想的な生育環境には排水性や保水性のバランスが大きく関わってくるそうです。
それを実現するために、馬ふん堆肥がどのように貢献できるのか・できないのかを探るというものです。

もちろん栽培する作物や気候、土壌の状況などによって「適正量」は変わってくるかと思いますが、一つの目安ができると利用する上では良いヒントになりそうですね!

感想

馬ふん堆肥という一つの題材に対して、複数の異なるアプローチから特性を探ることができるのは非常に嬉しいです。

また、馬ふん堆肥そのものだけでなく、ときがわ町に対する影響までを視野に入れていただいたことが何よりも嬉しいですね!

これからの実験でうまくいかないことや悩むこともたくさんあろうかと思いますが、生徒さんたちのチャレンジングな試みに少しでもお力になれるように応援していきたいと思います。

2月19日(日)には、毎月第3日曜日に実施している本屋ときがわ町でも、生徒さんたちの研究成果の発表の場を設けたいと思っています。

馬ふん堆肥を提供してくれたときがわホースケアガーデンの鈴木さんをはじめ、ときがわ町の関係者の皆さまにもぜひ聞いていただきたいですね!