『売上最小化、利益最大化の法則』

ときがわ社中で一緒に活動している栗原直道さんから強いお勧めがあった本。

『売上最小化、利益最大化の法則』

以前から気になっていたので、読むのにちょうどいいきっかけができました。
(栗原さん、ありがとうございます!笑)

結論からいうと、私個人の事業にとっても、ときがわ社中の事業にとっても、すごく大切にしたい学びが2つありました。

それは、

①利益を上げること
②目立つことを目的にしない

ということです。

これらは比企起業大学の標語のように何度も繰り返されている言葉、「小さくはじめて、大きくせずに、長く続ける」の精神にもつながってきます。

今回はそのことについて書いてみます。

地域でのしごとづくりで大切にしたいこと

先ほども述べたように、私は比企起業大学(旧比企起業塾)の教えを受けて、「小さくはじめて、大きくせずに、長く続ける」ことを大切に、地域でのしごとづくりを生業にしています。

これがすべてが「長く続ける」ことに行きつくということについては、先日書いたところです。
※「小さくはじめて、大きくせずに、長く続ける」 の意味についてはこちらの記事を参照。

長く続けるために必要不可欠なもの、それは利益です。
利益がなければ事業を続けることはできませんし、もっといえば食べていくこともできなくなります。
そのため事業を続けるためにも、生活を続けるためにも、シンプルに利益が必要だということです。

では次にどこまでも利益を大きくすればいいかというと、そうではありません。
大きくしてしまうと、大手、または自分よりも「強者」に目を付けられ、潰されてしまうおそれがあるからです。

そのためにあえて「大きくせずに」という言葉が入っているのです。

利益を上げることにはこだわるけれど、むやみに大きくしたり、そのために目立つ広告を売ったり、認知度を上げることはしないという考え方は本書にも通じるものです。

特に「ターゲットのみに認知されることが目的」であるという目立たないプロモーションの考え方にはなるほど!と大きく膝を打ちました。

プロモーションの目的は、認知度を獲得することではなく、極端にいえばターゲットのみに認知されさえすればいいということです。

また、利益を大きくしたい場合にはどうしたらいいかというと、こんなことが書いてありました。

小さなマーケットを狙うメリットは競合が少ないこと。ライバルがいないので、競争コストがかからず、利益率は高くなる。商品比較がなくなれば広告コストもかからない。だから、そこで圧勝しても売り上げは10~20億円程度しか上がらない。そこで私は、10億円の商品を10個つくって売上100億円を目指そうと考えた。

これはときがわ社中で目指している「小さいを、たくさんつくる」と共通するところです。

それを実現するための具体的な方法も本書には詳しく解説されていますので、今後ぜひ活用していきたいと思います!

===

本書の気になるところを以下でまとメモとして整理したものを参考として公開しています。

「⇒」は個人的な意見、感想です。

まとメモ

はじめに

・利益が同じなら、売上が大きいほうがリスクは高い。
 経営における最大の目的は利益を上げること。
 利益は会社がどれだけ社会に役立っているかを示す。
 利益から税金が支払われ、国のために使われる。
 利益があれば会社経営は安定し、トラブルに襲われてもつぶれない。
 経営者の最大の使命は「永続的経営」に力を尽くすこと。

第2章 売上OSが利益OSに変わる!

・利益が同じ場合、売上が多い方がリスクは大きい。・・・アクシデント量は利益ではなく売上に比例する。商品数、顧客数などが多いからだ。売上10倍はリスク10倍を意味する。

・「売上最小化、利益最大化」を目指すには、まず「少産少死」の経営を徹底する。商品・サービスを「少産少死」にすること。商品は一生売り続けるつもりで開発する。
 ⇒ 究極的には顧客にあわせてオーダーメイドの商品をつくること
 ⇒ ただ数を打たないと質に転換しない側面もある。この場合の「少産少死」は発売までの商品開発の過程でのモニタリングなどのテストは多くやるが、結果的に発売に至るものは少数になるという意味で、手数を打たないということとは違うと解釈

・価値とは、どれだけ他者の役に立つかということだ。役に立つかどうか、価値があるかどうかは、お金を渡す側が決める。「自分は相手の役に立っている」「一所懸命に働いている」と思っても、相手がそう思わなければお金を支払ってくれない。

・年商100億円の会社でも利益を出さなければ存在価値はない。売上に意味はない。利益こそが会社のお役立ち度を示している。利益はその会社が本当に役立っているかどうかのバロメーターなのだ。

・企業が利益を上げることは、お客様がお金を払いたいほど喜ぶ商品・サービスを提供し、お客様の役に立つことだ。そして利益を納税という形で社会に還元し、社会全体の役に立つ。企業はこの2つで社会に役立っている。

・売上は企業のお役立ち度の合計を数値化したもの。利益とはその中で自社が生んだ付加価値分。社会貢献とは稼ぐこと。お金を稼ぐことは社会貢献。だから利益が大事なのだ。

第4章 小さな市場で圧勝する商品戦略

・商品開発は「お客様の悩み」から始まる。ここには小さなマーケットで勝負する狙いがあった。大手が参入するには小さすぎる市場を切り拓き、中小にはマネできない高品質の商品を投入する。私の感覚では、大手企業は20億円以下のマーケットには参入してこない。つまり、小さな市場で圧勝する戦略だ。

・最初から商品形態は決めていない。悩みを解決するなら商品形態は問わない。

・一見すると、アイクリームは化粧品メーカーも製造しているから大手と競合するように見える。しかし、実際は「目の下の悩み解消市場」という従来なかったニッチ市場の製品なので大手メーカーとは競合しない。
 ⇒ 同質化プロセスで既存商品との同質化を図りつつ、異質化プロセスで差別化を図る

・品質はリピート率に影響する。売れ続ける商品こそ高利益を生む。

・小さなマーケットを狙うメリットは競合が少ないこと。ライバルがいないので、競争コストがかからず、利益率は高くなる。商品比較がなくなれば広告コストもかからない。だから、そこで圧勝しても売り上げは10~20億円程度しか上がらない。そこで私は、10億円の商品を10個つくって売上100億円を目指そうと考えた。
 ⇒ 「小さいを、たくさんつくる」ことを掲げているときがわ社中の方針と同じ。
   ときがわ社中では、100万円を100個つくるイメージ

第5章 利益率29%を実現する販売戦略

・どんな事業でも細かく見ると、赤字の受注はかなりある。それを精査してやめ、売上を最小化しながら利益を最大化する。

第6章 ファンの心をつかんで離さない「演歌の戦略」

・「モノ」を買うといっても、1回目の購入と2回目以降の購入では異なる。1回目の購入はマーケティング力が大きい。・・・ただ、「売り方」がうまいだけでは、そこで終わり。「よさそうな」だけで、品質がよくなければリピートされることはない。・・・2回目以降のリピート購入の場合は、品質力が大きい。「品質のよいモノ」だけが売れ続ける。

・2種類のプロモーション
 「目立つプロモーション」「目立たないプロモーション」

・目立つプロモーション・・・テレビCMやイベントなど、不特定多数の人を対象に「目立つ」「話題になる」ことが目的
 → 売上が上がらないのは自己満足、内輪受け、消費者不在
 → 売上が上がると競合に目をつけられ、競争が激しくなり、利益率は下がる
 → メリットがまったくない

・目立たないプロモーション・・・ターゲットのみに認知されることが目的
 → 売上が上がらないのは目立たなすぎてターゲットに認知されていない
 → 売上が上がると競合が生まれないので永続的に成長できる

・広告の目的は目立つことではない。利益を生み出すことだ。目立たないプロモーションが一番利益を生む。

・お客様は「本物」を見抜く目を持っている。「知名度がないのに売れている」が本物の証拠であり、誇るべき事象だ。

・購入者だけに商品の存在を知ってもらえればいい。むやみに知名度を上げようとするとコストがかかるので、買う人以外には認定されないようにしたい。

・テレビCMを打ったところで見た人の大半は買わない。買わない人に認知してもらうのは無駄。買わない人へのアプローチを一切やめるのだ。

・顧客に愛され続けるには「特別感」を提供し、ロイヤリティを持ってもらうこと。そのためには、一対一のコミュニケーションを抵抗することが重要。テレビで関係性の薄いファンをつくるより、関係性の濃いファンをつくるほうが効率的だ。