よこらぼの過去・現在・未来を考える「よこらぼ大会議」
まなびしごとLABの風間です。
こんにちはー!
2024年2月3日(土)、埼玉県横瀬町にて埼玉県のまち歩き&地域のキーマン巡りに引き続き、「よこらぼ大会議」に参加しました。
「よこらぼ」とは「日本一チャレンジしやすい町」を目標に掲げる横瀬町において、民間のさまざまなチャレンジの受け皿となる官民連携推進窓口のこと。
民間からの提案に対して、行政内の複雑かつ面倒な調整を一手に担い、町内での実証を可能とする仕組みです。
2017年にスタートし、これまでなんと140件以上の新規事業が町内で生まれてきたといいます。
しかも行政としての予算はほとんど使わずに、これだけの事業を実施してきたというのが驚きです。
実は私も公務員時代からよこらぼを追い続け、できれば同じ方法を取り入れたいと志しつつ、道半ばで実施には至らなかったという経緯がありました。
「よこらぼ大会議」は、そのよこらぼが2024年4月から新たなスタートを切るべく、これまでの7年間の軌跡を振り返り、過去・現在・未来をじっくり考えようという趣旨で開催されました。
会場には町内外から、なんと関東圏外からも100人以上の人が参加していました。
特徴として、町内よりも町外からの参加者が多かったことに、よこらぼへの注目の高さがうかがえました。
私の拙い理解の範囲で当日の様子を書き留めたメモを公開します。
※なお、この日は横瀬町まち歩き&地域のキーマン巡りフィールドワークを同時開催していました。まち歩き&地域のキーマン巡りの様子は以下のページをご覧ください。
埼玉県のまち歩き&地域のキーマン巡りフィールドワークin横瀬町を開催しました(2024年2月3日)
富田町長によるオープニングトーク
・よこらぼは2016年7月に開始
・職員のマンパワーが限界
・このままではいけない。今までのやり方ではできないということ
・234件の提案 → 141件採択
●よこらぼの成果
①ヒト・モノ・カネ・情報が集まり続けるようになった
②チャレンジする町、チャレンジを応援する町=横瀬町 町のカラーになった
●よこらぼの課題
① 3つのギャップ
・実証と実装
・提案者がやりたいことと町の課題 課題ドリブンではない、チャレンジしたいことが入口
・知っている町民と知らない町民 知らない人は知らない、知らない人が多数
② コストとリスク
・金銭コストは小さい 年間80-100万円くらい
・人的コスト 大きい 職員の負担
・自己・トラブル ここまではほぼない
●未来を変えるためにもっと何が必要か?
① 起業・事業支援をもっと
・実装を増やしたい
② 町民をもっと巻き込む
・よこらぼはインフラ リビングラボ
・2023年度 町民の声を聴くことに取り組んだ 毎年やらないとダメ
③ 推進体制をもっと強くする
・地域おこし協力隊 17人
・地域おこし協力隊インターン 今年度から始めた 今月3人
●変わらず大切にすること
① チャレンジを応援する(失敗OK)
② オープン&フレンドリー(ようこそ)
③ 誰もが主役(ウェルビーイング)
●今後に向けて
「よこらぼをテコにして小さな横瀬町の未来を変える」
「よこらぼをテコにして小さな横瀬町から未来をつくる」
町長自ら「みんなでチャレンジしていこう!」。
これにはめちゃくちゃ感動しました!
このリーダーシップがあるから、職員も民間もチャレンジできるんでしょうね。
地域のリーダーシップの重要性を感じました。
横瀬町×スタートアップ
登壇者紹介
①田村さん イグジットフィルム
横瀬クリエイティビティクラス クリエイティブ×教育
②栗本さん liqutous
Webで町役場と町民をつなぐ
一番最初に信じてくれた
町民参加プラットフォーム
③ 石川直也さん 坂戸出身Trim㈱ 神奈川県在住
Mamaro 設置型のベビールーム
屋外用を開発中 道の駅で実証実験中
使ったらシールを貼ってもらう 1日10回くらい利用されている
Q 良かったこと、さらに良くなるというところ
① きっかけは肉の御礼
ハッカソン→クリエイティビティクラス
要望はとくにない
お金がなかったからあそこまでできた
町民のニーズが明らかになっていると良かったかも
横瀬に拠点を設ける意味はない
② いろんなところで「よこらぼは良かった」とPRしている
担当者によらない仕組み 異動がありうる
他の自治体の対応が通り一辺倒なところで、よこらぼは落ちてもフィードバックをくれた
(副町長)
・今の横瀬町で提案に応えられるかという視点だったと思う
③ 自治体は他の自治体の事例を気にする
法制度がないものも手を出したがらない
よこらぼで実績をつくれたのが大きかった
ベビールームが関係してくるのは消防法、建築基準法
→ 現時点では外においていいという規定が存在しない
設置して1ヶ月 他自治体や国交省の人に見てもらいたい、製品化に向けて
Q 横瀬はなぜ実績がなくても採択できる?
(副町長)
・どういう種類のリスクがあるか?
・何が起きうるか?
・社会課題はこれから増える
→ それが解決していけば結果的に役立つ、目立つ
⇒ よこらぼの民間バージョンができるか?
Q 他でどういう評価をされているか? 何を評価されたか?
① 「教育」は刺さる
営利団体がパブリックで価値が出せる仕組みができるか
社会で活躍できるように鍛えてもらえる
⇒ 社員教育のプログラムとして、社会課題解決を使える可能性
個人としてのウェルビーイング、会社としてのCSV
② 信頼される
他の自治体が言い訳できない
日本全国、世界でもやることになった
その始まりが横瀬
行政はやらない理由を探すのがうまい
職員100人未満、人口8000人未満の横瀬町でもできた
他の自治体にとっては言い訳できない
良い言い方をすれば他の自治体にとっての希望になる
③ 評価は数年後
長期置かせてもらうのは初 これまでは1ヶ月
道の駅に寄贈された段ボール授乳室が悪い意味で話題になった
それを引き合いにmamaroは好評
Q よこらぼへのメッセージ
① 非営利団体が横瀬に生まれたらいい
② スタートアップ、べんちゃ 何をやっているのか分かりづらい
町民「何の役に立つの」「メリットあるの」
官民連携に取り組んでいる地域は増えてきたが、そこを示せているところは少ない
住民にシェアできることを示していく
横瀬町×企業
登壇者紹介
①山口智幸 NTTデータ
・新しい防災無線
・この町から実証試験をさせてもらえるというより、この町で実証試験をしたいという気持ち
②伊藤淳さん TIS
・5回提案して5回採択
・地域資源をどう使うか
・よこらぼがきっかけで移住 よこらぼ移住
・町長から「伊藤君にかける」と言ってもらえたのが嬉しかった
(町長)
・伊藤さんのいないホンダではできないと思った
③ 堤広利さん 西武ホールディングス
・ボビスタ Webで買い物して駅のコインロッカーで受け取るサービス
46か所で展開
Q よこらぼの良さ、こうすればもっと良くなる
① 商品化は実証やらないことには進められない
そのための投資をどれだけやればいいか
実証できるところが普通の自治体ではない
横瀬町のこともPRしている
→ まだ知られていない。もっと対外アピールしてもいい
そうするとよこらぼでやっている事業にさらにはくがつく
(町長)
・大企業とやったことで、町も広まった
② 大企業が思っている地域の課題と町の人の課題のギャップがわかった
・ホンダ 必要なのは自動運転、電気自動車だと勝手に決めつける
・でも実際は町民は欲しがっていない
・その差を埋められた
・横瀬町に採択されたことが評価される
・そのおかげで経産省、会社にも後押ししてもらっている
Q どんなところを大事にしているか?
③ 鉄道をいかに売上を上げるか、沿線がどう盛り上がるかを考えている
(町長)
・いろんな方面の取り組みをしている
・総合振興計画のKPIで西武鉄道の乗降者数を設定している
・そういう自治体はあまりない
Q 実証の後、どんな影響があったか?
① 10以上の自治体で製品化した
社会実装をしている
海外の防災技術としての議論が始まっている
ただよこらぼでやったということをPRできていない
② 会社の課題ではなく、地域住民の課題からスタートできた
TIS ウッドデザイン賞を受賞 森林活用にも取り組めそう
Q スピード感のある意思決定をどう感じた?
① 開発部門で町からお金をもらうことはありえないと社内には伝えている
社としてどこまで初期投資できるか
時間がかかるほど、失敗を怖がっているととられられる笑
いい緊張感があった
② 人口8000人の町でやるのかと聞かれる
大企業は最低10万人
ただいきなり10万人ではできない
いろんな人がいる
実証にはまず1万人でうまくできないといけない
スピード感ある横瀬町で
Q なぜ横瀬?
③ 一番長い距離を乗ってくれるお客様 秩父、横瀬
ロイヤルカスタマー
一番お金を払ってくれている
大事にしないといけない
(町長)
・リスクコントロールをしている
・ここまでは大丈夫
・どんなリスクがくぁるかを解像度を上げて考える
・それをもとに判断する
Q 一緒に取り組んでいきたいこと
① 会社は大きいが人は小さい 社員育成
② 横瀬発信で広げていきたい 採択者同士のつながり
③ 「52席の私服」 貸し切り観光列車
横瀬町×大学
登壇者紹介
①青山学院大学 古橋大地先生
・所沢と横瀬と二拠点
・ポケモンGOなどの地図をつくっている
・ドローン 地図
②立教大学 観光 舛谷鋭
・町長「観光開発はしない」 観光文化専門
・学生を連れていく役目
③東京電機大学 松井加奈絵先生 足立区
・さいたま市 スーパーシティ
・都市開発
④専修大学 経営学 奥村経世先生
・国際交流センター長
・3年目 よこらぼ 創造的思考 イノベーションを横瀬で起こそう
⑤長野大学 吉田善一先生
・昨年度まで東洋大学
・哲学
⑥麗澤大学 吉田健一郎
・横瀬町出身の学生がきっかけで
⑦十文字学園女子大学 羽田邦弘先生
・児童教育学科 学校教員養成
・学生 小学生に絵本をつくってもらうワークショップ
(町長)
・15大学と連携している
Q 「横瀬町は、私たちにとって〇○である」
(奥村)
・サファリパーク
・変人だらけ
・古いものに縛られない
・自分勝手に好きなことを言う
(古橋)
・砂場
・つくっては壊すができる
・サンドボックス
・すぐできる、すぐやめられる
・それを許容してもらえる
(吉田善)
・シルクロード
・上田市までキャラバンできそう
(羽田)
・教室
・多くの学び、学生の成長が予想以上
・海士町の小学生とオンラインでつないだ
・今年度はよこらぼの事業ではなく、海士町からの申し出で自走
Q もっとこうなれ、よこらぼ
(吉田健)
・学生 どぶろくスイーツ
・ENgaWAで販売
・プロダクトをつくろうとしている
・入れたら町にもいい影響
・後押ししていただきたい
(奥村)
・町内から新しいことが出てくる文化をつくりたいのではないか
・もっと町民を巻き込んでいく
・町民がプロジェクトの8-9割を占めるように
(町長)
・町内でチャレンジの連鎖、エコシステをつくりたい
(?)
・互換性を高めてほしい
・他の自治体をつなげられるよう
(町長)
・複数自治体と連携している
(羽田)
・大学生が同じ年齢の人たちと交流しないが、町にいない
・大学を超えた学生同士の交流
(吉田善)
・スピーディーだけでなく、スモール&スローも大切に、ていねいに
(松井)
・たくさん支援してもらっている
・できれば支援させていただきたい
・こういうものが欲しいと我がままに言ってほしい
・返せているものが少ないと感じる
Q 秩父でゼミ活動をするメリット
(奥村)
・各地で大学を誘致して失敗している
・横瀬に〇○を → 横瀬を〇○に
・たとえば「大学」
・地域全体を大学にする
・学校をつくらなくてもいい
Q 今後一緒にやりたいこと
(古橋)
・キャンパスとして町を使いたい
・遠慮なく手伝ってと言ってほしい
(羽田)
・隠岐島前高校では町全体を教育のリソースにしている
・地域全体を学校と捉える
・校舎の中では学べないことを実際に見に行ける、会いに行ける
(吉田健)
・学生は遊び相手を探している
・大学連携で学園祭できたらおもしろい
⇒ 北坂戸でもできる!
(吉田善)
・ゼミ合宿の町
・学生同士で対抗戦
(奥村)
・職員が変わり続ける役場
・よこらぼが続くように
(松井)
・大学は学費が高い
・大学の役割を見直す
・15大学が集まる町はない
・学費が不要で15大学と関われる町
・大学は自由な場所ではなくなっている
・単位、卒業、就職しなくちゃという制約
・地域自体が学びの場所
・18-22歳だけが大学生ではなく、一生学び続けられる町
(舛谷)
・関係人口
・横瀬町×武蔵野銀行×立教大学
・リスクは武蔵野銀行がすべて負っている
まとめ・感想
改めて横瀬町にはいろんなセクター、いろんな業態との連携が生まれているんだなと思いました。
その中で特に印象に残ったことは2つあります。
一つはリーダーシップの大切さ。
地域の首長のリーダーシップは圧倒的にインパクトがありました。
それがあるからこそ、職員の中でもいろんなチャレンジが生まれ、そこから次のリーダーシップが育って行っていると感じます。
もう一つが、結局、最後は「人」が大事だということ。
相互に連携関係にあるのは町役場と企業、町役場と大学だったりするわけですが、そこで関わっているのはあくまで一人一人の人間同士です。
そこに信頼関係がなければここまでの動きや変化は起こってこなかったのではないかと思います。
魅力的な人間同士が関わって、そこにおもしろい動きが生まれてきたからこそ、そこに次から次に惹きつけられた人が集まり続けてきたのが今の横瀬町ではないかと感じました。
横瀬町から持ち帰ってきたことをぜひ坂戸市でも活かしていきたいと思います。
改めて横瀬町の皆さま、ありがとうございました!!
メルマガ月刊 地域でしごとをつくるマガジン」を発行しています
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前月に取り組んだ各プロジェクトの状況、一般社団法人ときがわ社中の活動、地域でのしごとづくりに役立つ本のご紹介、今後の予定などをまとめています。
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