「日本一チャレンジしやすい町」を目指す横瀬町でまち歩き

まなびしごとLABの風間です。
こんにちはー!

2024年2月3日(土)、埼玉県のまち歩き&地域のキーマン巡りフィールドワークin横瀬町を開催しました。

埼玉県関連の仲間と始めたこの企画。

今回は、「日本一チャレンジしやすい町」を目標に掲げる横瀬町を訪問しました。

参加者は私含め9名。

アテンドいただいたのは横瀬町役場のスーパー公務員、「失敗推進係長」を名乗る田端将伸さんと、地域おこし協力隊インターン生のOさん。

横瀬町は人口約7800人、役場の職員の数は100人に満たない町です。
それでも埼玉県における官民連携の先駆けとして名高い「よこらぼ」を中心に、これまで140件以上の新規事業が町内で生まれてきたといいます。

横瀬町ではなぜこんなにも多くのチャレンジが誕生したのか、そしてチャレンジが今もなお生まれ続けているのかに迫りました。

この日に訪れた場所は以下のとおり。

  • 西武秩父鉄道 横瀬駅
  • 横瀬町役場
  • エリア898
  • LAC横瀬
  • タテラボ
  • エリア899
  • ナゼラボ
  • チャレンジキッチンENgaWA
  • 寺坂棚田
  • 駅前食堂

歩ける範囲でこんなに多くの施設が集約されているところにも秘密がありそうです。

田端さんからお聞きした話を理解の範囲でメモしたことを書き留めておきます。

※なお、この日は「よこらぼ」の7年間の軌跡を振り返る「よこらぼ大会議」も開催されていました。

その様子は「よこらぼ7年間の軌跡を振り返る『よこらぼ大会議』に大潜入!」をご覧ください。

旅の始まり「西武秩父鉄道 横瀬駅」~横瀬町役場

横瀬駅

・西武秩父鉄道が撤退のうわさが流れたことがあった
・署名を集めるだけでなく、どうしたら乗ってもらえるかを考えた
・そこから芦ヶ久保の氷柱が始まった
・芦ヶ久保の氷柱はすべて住民の方が動いている
・危機感+行動が生まれた 
・どうしたらいいかを考えているところにチャンスが生まれる

横瀬町役場

・横瀬駅から横瀬町役場は駅前通りのメインストリートだが、何もない
・横瀬町にはそもそも商店街がない
・商店街は偶然の出会いの場。人が集まる場所がないということ
・人が集まらないから賑わいが出ない
・人が集まる場所をつくろう
・それが「エリア898(やくば)」の発想のきっかけ
・横瀬町のロゴは4つのコ(「よこぜ」から) 小学生の応募を採用

よこらぼの象徴としての「オープン&フレンドリースペース エリア898」~「LAC横瀬」

「よこらぼ」とは何か

・目的
① やりたいことを応援する
② チャレンジし続ける人をつくる
・月3件くらいの提案 民間がやりたい仕事を増え続ける
・職員2人で対応
・これまでの7年間で140件超を採択
・職員のマンパワーが限界でいったん受付を停止。町長「半年後にまた始める」
・そのためにどうすればいいかを考えている

オープン&フレンドリースペース エリア898(やくば)

・JAの直売所をリノベーション 
・すべて手づくり 40万円
・工務店にも大工さんにもボランティアでお願いした
・スクリーンはテント生地を譲ってもらった
・デスクや椅子ももらいもの
・役場の対局的な場所
・従来の役場は閉鎖的でフレンドリーではない
・そういう仕事はAIやデジタルで済むようになる
・これからの役場の価値、こういう役場にしたいというものを体現
・「オープン&フレンドリースペース」
・LACとの間の壁は開放している。通常は公共施設とは縁切りされている。管理上の問題で。
・民間との境界がないことを示したかった

LAC横瀬

・宿泊+コワーキングスペース
・シェアキッチン設置
・ENgaWA雇用の社員と再任用職員の方をコミュニティマネージャー、エリアマネージャーとして配置
・LACはビジネスユース(観光客対象ではない)
・横瀬町は8割が森林だが活用されておらず、ブランド材がない → 課題
・木を活用する事業者によるタテラボ
・ShopBotで個室のワークスペース、サウナ開発
・設置型の授乳室mamaroを実証的に設置している

木材活用×アート「タテラボ」

タテラボ

・2023年3月オープン
・スキーマ Hさん
・都内からオフィス移転
・単なる木材活用を全面に出したのではブランド材とは戦えない
・アート作品×木材×横瀬の環境
課題解決ではなく、「おもしろいこと」をする → 結果的に森林が活用される
・木を活用してこなかったが、木のまちと認知されつつある
・shopbotで宮大工の技術を再現
・木の活用で一番高いのは物流
・いったんバラしても組み立てられる
・釘も使わないので燃やせる
・サウナマット「サブトン」を木で。好評
・人がおもしろいことがすべて そうでないとまちづくりはつまらない

子どもの居場所づくり①「エリア899」

エリア899

・子どもたちの居場所
・多いときは30人くらい来る
・ゲーム、勉強、ボルダリングなど
・こども子育て課のアンケートで「子どもたちを安心して遊ばせられる場所がない」という意見が圧倒的に多かった
→ 親子で来られる場所をつくろう
・親は1Fのエリア898で過ごす
・1Fにあるタブレットで、2Fの防犯カメラを通じて子どもの様子を見ることもできる
・交付金を活用

子どもの居場所づくり②「ナゼラボ」

ナゼラボ

・学校にいけない子どもが増えている(不登校)
・出生数は減っている
・カリキュラムはない
・よこらぼで採択した事業
・日本財団の助成金を活用
・町は1円も出していない
・教育ではなく、まちづくりとして実行した
・そうじゃないと何年も問題が先送りになる
・子どもは毎日まず森へ行く そこで見つけた疑問を持ち帰って調べる(=探究)
・子どもたちは家にこもらず、社会と接している
・学校とナゼラボどちらでも選べる状態をつくりたい
・エリア898、ナゼラボ、タテラボは一度には整備できない。徐々に、柔軟に
・人が集まってくる場所=「商店街」のような場所になってきた

地域の「縁側」のような場所に「ENgaWAチャレンジキッチン」

ENgaWAチャレンジキッチン

・株式会社ENgaWA
・社員8人
・「縁側」みたいなまちづくりがしたかった
・縁側はプライベート空間だけどパブリックな場所
・3つの「えん(縁、円、援)」
・円は地域経済循環
・農業、商品開発、駅前食堂も
・定款には27事業だが、今は5事業しかやっていない
・東京の会社に入ってこられないように。外貨を稼ぐ+流出させない
・地域のものは高い。でもなるべく地元のもので
・それを理解して買ってくれる人に地域経済循環の一翼を担ってもらいたい
・プラムの一番おいしい時期は1週間。傷みやすいので農家はやらない、収穫しない
・それを社員が収穫して加工する
・農業部では一緒に農業をやる人を募る
・メープルを高齢者に代わって収穫する。少量しかできない カナダ産1000円 横瀬のものは5000円
・スチームコンベクションオーブン、ブラスト冷凍、真空パック包装機を交付金で購入
・これだけあれば何かできる
・週1土曜日オープン 平日は町内飲食店に行ってほしいい
・平日は商品開発、レンタルキッチン
・大学生などのイベントの場所
・飲食店の営業許可、食品製造許可 → チャレンジのハードルを下げる
・関わりしろはグレーゾーンにこそできる
・クレーマーはファンだと思っている

横瀬町の原風景「寺坂棚田」

寺坂棚田

・日本の原風景をつくりたかった → 彼岸花を植えた
・彼岸花は球根に毒がある → モグラ除け
・武甲山を見て、「かわいそう」という人がいる
・武甲山では石灰岩の採掘。コンクリートの材料になる
・ここで採掘しなければ、世界のどこかで採掘されている
・一番望ましいまちづくりとは何か
・そこだけ見れば環境破壊だが、それがなければ今の生活は成り立たない。そこを考えてほしい
・私たちはそれに対してどうするべきかを考えることが一番学びになる
・ベルトコンベヤーで地下で日高までつながっている 22km
・大正時代から採掘開始 本格的にはS45年から

質疑応答

Q よこらぼの最初の1社をどうやって呼んできた?
・オープンイベントにメディアをたくさん呼んだ
・それまで広告宣伝費を10万円もとったことなかったが、数百万円を確保していた
・結果的に1円も使わなかった
・メディアが勝手に拡散してくれた
・問い合わせが殺到
・採択された会社が次を呼んでくれる

Q 採択のポイントは?
・プレゼンの熱量はポイント
・課題をヒアリングさせてくれという企業はつまらない
・課題だらけ
・課題より「何がしたいのか」
・お金で来る人は選ばない、来なくていい
・熱意が高い人だけくればいい
・チャレンジしやすい町だからという理由で選んでほしい
・視察はすべて有料化した

終点「駅前食堂」

グルっとひと巡りして、横瀬駅前食堂に到着。

ここでランチをとることとなりました。

私は「豚汁そば」を注文。
そばも豚汁も好きなので最高でした!

午後からは「よこらぼ大会議」があるとのことなので、それに向けて腹ごしらえ。

田端さんとはここでいったんお別れ。

田端さん、ご案内いただきありがとうございました!

感想

公務員時代からお世話になり、密かに「アニキ」として大尊敬してきた田端さんのお話に、この日だけで数百回はうなずいたと思います。

それくらい納得感とリアリティのあるお話でした。

横瀬のことも大好きで、年に数回訪れていますが、そのたびに新しいチャレンジが生まれているという印象があります。

この日も前に来た時よりもずっとエネルギーに満ちていました。

町の人口は減ったとしても、熱量の高い人たちだけが集まってくる町。

熱量の高い人がいれば、そこには住んでいる・住んでいないにかかわらず熱量の高い人が集まってくるのではないかと思います。

「こんなまちづくりがしたい!」

心からそう思い、また心に火がついた気がします。

田端さん、参加者の皆さま、ありがとうございました!!

(よこらぼ大会議編に続く)

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